「詰め込むだけ」では馬鹿になる!! 勉強の成果を左右するアプトプットの方法とは?

勉強法 夏休みの勉強

勉強において「書く」という作業は非常に重要です。入試においても、偏差値の高い学校では途中の計算や考え方まできちんと書かせる問題を出しています。また、私が講師の仕事をしていて目にするのは「理系科目ができない」と言っている人ほど書く量が圧倒的に足りないという事実です。こうしたことを受けて、書くことが大事であると、もっと多くの人に認識してもらう必要があると考えています。世間には「アウトプット」についての本や情報が沢山出回っていますが、私は勉強の場でもそれについてきちんと言及し、教えていく必要があるということを念頭において指導をしています。とはいえ私は理系に進んだ人間ですから国語や社会の話をするのはいささか無理がありますので、この記事では理系科目に焦点を当てた「書くことの重要性とその効果」を私なりに提示しようと思います。

1.1 なぜ書くのか?

数学の勉強の際に「途中の式や考え方も書きなさい」と問題文に書いてあって「うわー、面倒だな」と思ったことはないでしょうか。確かに、書くことの労力は脳内で完結させたり口頭で説明したりする労力よりもはるかに多いのですが、それでも書かされるということは、何らかの目的があってのことだと考えられます。その目的とは何でしょうか。先生や採点官に自分の考えを見せて理解度を把握させるため、受験生に差をつけて合格不合格をしっかり振り分けるため、というような答えも確かにありますが、それは「学校教育の中だけの話」ですよね。社会に出て働き、多くの人と接するという状況を考えたらどうでしょう。そのときにとても重要となる能力を鍛えるために「書く」作業を行い「答案を作る」のです。

まずは具体例から見てみましょう。学校の授業の中で、自分の考えや夏休みの自由研究の内容を発表する場面がありますよね。人によっては「レポート」や「論文」の執筆、「プレゼンテーション」を行った経験があるはずです。これらに共通して必要とされることは何でしょうか。そう「わかりやすさ」ですよね。では、どうしたら「わかりやすい」発表ができるのでしょうか。

別の例も挙げてみましょう。有名人で「頭が良い」と言われている人と、所謂「おバカタレント」と呼ばれる人では、何が違うのでしょうか。単純に知識量の違いもあるかもしれませんが、それは覚えればなんとかなる話ですので、ここでの話題とは違います。私が言いたいのは「話が上手い、わかりやすい」という点です。また「わかりやすさ」の話になりましたね。そのヒントが、数学や理科の答案作成に隠されているのです。

図1. わかりやすい答案とわかりにくい答案の比較

まずは、わかりやすい答案とわかりにくい答案を見比べてみましょう。どちらも同じ問題に対する答案ですが、左の答案は式だけが羅列されていて何の説明もないため、初めて見る人にとっては理解するのが難しいでしょう。一方、右の答案は日本語できちんと説明を書き、さらに何の公式を使っているかも見やすく書いています。この方がはるかに伝わりやすいですね。さらには、極端な話ですが、左の答案は答えが合っていても0点になる可能性が高いです。なぜかというと、式を羅列しただけの答案は「本当に理解しているのか」と採点官に思われてしまうからです。もっと言うと、意味も分からずただ機械的に式と計算の手順だけを覚え込んで問題に取り組んでいるように見えるのです。仮にそうではないとしても、理解しているように「見えない」という答案であれば「伝える気がない」「読み手に対する配慮がない」と思われ、最悪の場合「理解していないだろう」という判断まで生んで「この受験生はウチに入ってもついてこられないだろう」と切り捨てられても仕方ない、という非常に残念な事態になります。

数学の答案1題分でここまで差がつくのですから「書けない」ことがいかに重大な問題であるかがわかったと思います。しかし、これは受験本番での話で、わかりやすくしっかりした答案を作る力は、日頃の学習のなかで培い、練習していかないと身につきません。大変なのはわかりますが、ワンランク、ツーランク上の実力を身につけたいなら必要不可欠ですので、手間を惜しまずに取り組みましょう。

1.2 日頃の学習での強化

さて、前章では「書く」「答案を作る」ことの重要性について書きましたが、日頃の学習での必要性は他にもあります。私は、大きく分けて3つのポイントがあると考えます。

  1.  情報を整理する
  2. 応用が利く
  3. 長期的に記憶に残る

順番に説明していきます。まずは「1. 情報を整理する」ということですが、これは日常生活の中でも意識してやっていることでもあるので納得できる人もいるでしょう。簡単な例が「買い物リスト」です。書かないと覚えていられないから、というのもありますが、書いているうちに「そういえば、洗剤が切れそうだった。リストに追加しよう。」とか「これは急いで買うほどの物じゃないから今日はいいか。外そう。」と買う物を調整することはありませんか(ご家族にも訊いてみましょう)。このように、複数ある情報を整理することで、頭の中も整理され、知識や行動が確立されていきます。買い物という日常の出来事でさえ情報の整理を必要とするくらいですから、それより複雑なことを脳味噌に強いる「勉強」において「書かない」という選択肢はありませんよね。数学でいえば、数学Ⅰで特に苦戦する人が多い2次方程式の解法と2次関数の分野がいい例です。式とグラフの対応関係がしっかりできていることが前提で、尚且つ判別式、軸と頂点、グラフの端点といった注目すべきポイントが矢継ぎ早に出てくるので、式だけを羅列したノートや答案など何の役にも立ちません。自力で日本語の説明を書いてみて、なぜこの解法なのか、どういう問題のときにこの解法になるのかを整理して、1つずつ理解していく必要があるのです。自分が書いたもので視覚的に情報をとらえることで、直感的に理解することも「こういうことか」と腑に落ちることもできるようになります。

続いて2つ目「応用が利く」です。情報を整理して、適切な解法を脳内の引き出しからすぐに出せるようにしておくと、応用問題に出くわしても「このときはこの解法でいけたからこれでやってみよう」とひとまず方針が立つのです。また、教科書では別の単元として書かれている2分野の基本問題同士でも「こういう解法の組み立てならOKだ」「同じ解釈でいいんだ」というつながりが見えてきます(物理でもこういうケースをよく見かけます)。

そして最後に「長期的に記憶に残る」というメリットです。授業では、先生の話を聞いて板書をとって、場合によってはそれで終わってしまうこともあります。しかし、それでは実際に勉強している生徒の皆さんは終始「受け身」の状態ですよね。この「受け身」の状態で授業を終え、宿題もノートを見返して「こんなだったかな」という感覚でこなしていては、殆ど頭に入っておらず、数日のうちに完全に忘れてしまいます。読む・聞くだけで覚えようとしても、覚えにくく忘れやすいものなのです。勉強したことをしっかりと記憶に残す、そしてきちんと理解するためには「書く」作業を怠らず、自分が理解できるように説明をまとめてみることが重要です。勉強するとき、そこに「書く」という行為を追加した結果、覚えやすく忘れにくくなるということは、脳科学的にわかっています。ですので、授業でやったことをあっさり忘れ、試験前に焦って一夜漬けする癖を治したい人は是非やってみてください。

参考文献
  • 教養バカ 竹内薫・嵯峨野功一 SB新書 2017年 pp.26-27
  • 学びを結果に変える アウトプット大全 樺沢紫苑 sanctuary books 2019年 pp.22-23 , 114-115

 

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