読者の諸君は、習った内容の定着を図るために問題集を使っているだろう。
なんでもいいのでひとつ、使っている問題集を開いてみてほしい。何か書き込みがあるだろうか?
もし何も書き込まれていないのであれば、それは効果的な問題集の使い方をしているとは言えない。
そういった効果的で無い問題集の使い方をしている読者は、こういった悩みにぶつかった事があるのではないだろうか。
「問題集では解けたのに、いざ模試となると解けない・・・」
「基本問題は解けるが、応用になった途端に壊滅してしまう・・・」
「どこかで見たことあるような問題だが、解ききれない・・・」
問題集を解く目的は、模試や受験といった場面で問題が解けるようにすることである。
この記事では、より効果的な問題集の使い方を紹介していこうと思う。
上で挙げた悩みのような事態はなぜ起こってしまうのだろうか。
それは、問題を解ききるほどの解法の理解がおのおのの問題について出来ていないからである。
例を挙げてみよう。
例題:二次関数
y=x²+2x−3
が切り取るx軸の線分の長さを求めなさい。
この問題をみてすぐに解法が浮かんだだろうか。数学Ⅰの二次関数分野には必ずのっている基本問題なので、解法がすぐ浮かばなかった読者は要注意だ。
この解法がすぐに浮かばないのは、二次関数の基本的な性質を解答に反映できるまでに理解していないからである。
では、本番で解けるようになるまで解法の理解度を上げるにはどうすれば良いのだろうか。
当たり前だが、問題を解ききるには解法を完全に理解している必要がある。
そのためには、読者自身が問題と何回も繰り返し出会い、完全に解ききれるまで粘らなければならない。
人間の脳は、長い時間見た物よりも、繰り返し見た物を重要な物と見なして記憶にとどめる性質がある。その性質を上手く利用するのだ。
次の章で、その具体的な方法を書いていこうと思う。
全体のプロセスは下のように行われる。
ポイントは、②の「問題の出来具合」という箇所だ。○△×のそれぞれの基準は次のようになっている。
○・・・最後まで解ききることが出来ず、途中から解答を見てしまった。
△・・・最後まで解く事が出来たものの、時間をおいて再び解こうとしたときに完答できるか怪しい。
×・・・解答を見ず自力で最後まで解く事が出来た。これ以降、いつこの問題を出されても間違えることは無い。
この要に厳格に到達度に基準を設ける事で、自分の理解度が可視化できるのだ。例を挙げよう。
例:
×△△○(2) 二次関数
y=x²+2x−3
が切り取るx軸の線分の長さを求めなさい。
この場合、○が1つ、△が2つ、×が1つなので、4回目の解き返しで完全にこの問題が解けるようになった事を表している。自分で納得できるまで解き返したのだから、以後似たような問題を間違えることはほぼ無いだろう。
このように、問題に書かれた印を見るだけで自分の達成度が如実に現れるのである。
読者諸君は、1つの問題に対してここまで丁寧に何回も解き直しをしたことがあるだろうか。たった一回なんとなく解いただけで満足していないだろうか。
この○△×法を使うと、自力で解ける問題が圧倒的に増える事以外にもたくさんの恩恵を受けることが出来る。
まず問題に印がついているので、自分が苦手だと感じる問題のみに焦点を当てることが出来る。×のついている問題はもう以後間違えないのだから、わざわざ解き返す必要はない。解くのは○と△の問題のみで良いのだ。これはテスト前などの時期の時短につながる。
また、自力で徹底的に解けるようになるまで繰り返すので、基礎の基板が非常に安定した物となり応用問題の解ける幅が広がる。応用問題は基礎問題の組み合わせなのだから、結局は基礎問題の理解が重要なのである。
このように、○△×法は時短+応用問題突破というWの良い面をもっているのだ。
今回の記事では問題集の効果的な使い方を書いた。筆者自身の体験だが、この○△×法を数学に取り入れてから数学の成績がぐんと伸び、高校2年の進研模試では満点を取ることも出来た。
私自身の成績の伸びの体験から、この問題集の使い方を是非読者諸君にも実戦してみてほしい。普段の問題集に少し書き込みをするだけで成績がアップするのだから、これ以上お得なことはない。
さあ、この記事を読み終わったら、解いた問題に「○」を一個つけることから始めてみよう。その先にはきっと、今よりもずっと理解が進んだ自分が待っている事だろう。