東京海洋大学の知名度は、東京にある国立大学ということを勘案すると大変低いのが現状である。
現役の東京海洋大学の学生に聞くと、東京の私立大学である東洋大学や東海大学に間違えられてしまうことが多いそうだ。
そんな東京海洋大学であるが、国内唯一の海洋系大学で、海に関係することで学びたいことがあるという熱意をもった学生が集う大学であり、乗船実習やマグロからツナ缶を作る授業など他の大学ではなかなか体験できないことができるなど、魅力的要素が多い大学である。
それでは、東京海洋大学についてより詳しく紹介しよう。
東京海洋大学は1875年からの歴史をもつ東京商船大学と1888年からの歴史を持つ東京水産大学が2003年に統合されたことにより生また大学である。当時は海洋科学部4学科、海洋工学部3学科、大学院海洋科学技術研究科博士前期課程5専攻・博士後期課程2専攻が置かれていて、学内共同研究施設として、社会連携推進共同研究センター、水圏科学フィールド教育研究センター、情報処理センターが設置されていた。そして現在は海洋生命科学部、海洋工学部、海洋資源環境学部の3学部が展開されている。
東京海洋大学は人類社会の持続的発展に貢献するため、海洋に関する学問及び科学技術に係わる基礎的・応用的教育研究を行うことを大学の理念に掲げており、環境、資源、エネルギーを中心にそれら3領域の複合部分、周辺領域を含めた幅広い海洋系の研究を行っている。(下図参照)
(図1 研究領域 東京海洋大学について|東京海洋大学HPより引用)
そして、海洋に対する科学的認識を深め、自然の望ましい利用法を提示・実践する能力、論理的思考力・適切な判断力・社会に対する責任感を持った行動をする能力、現代社会における諸課題について理解し対応する実践的指導力、幅広い教養と深い専門知識に基づいた問題解決能力、国際交流のための視野と文化的素養を持った人材を養成することを目標としている。
東京海洋大学は海洋系の研究分野一般において先端的な研究を行い、その中で研究成果を上げてきた。
近年では生物水圏のゲノム育種学的研究や海洋エネルギーについての研究で成果をあげている。
有名人には、東京海洋大学の名誉博士としてさかなクンが所属している。
東京海洋大学には海洋生命科学部、海洋工学部、海洋資源環境学部の3つの学部がある。
品川キャンパスと越中島キャンパスの2つが存在している。
どちらのキャンパスも立地が良く、キャンパス周辺にはカラオケ店など遊ぶところも多くある。越中島キャンパスは人気テーマパークである東京ディズニーリゾートの最寄り駅である舞浜駅まで10分ほどで行ける距離にある。
海洋生命科学部及び海洋資源環境学部があり、東京海洋大学の本部があるので、東京海洋大学の中心キャンパスといえる。
アクセス JR線、東海道新幹線、
京浜東北線 品川駅より徒歩10分
東京モノレール 天王洲アイル駅より徒歩15分
りんかい線 天王洲アイル駅から徒歩20分
海洋工学部や海洋科学技術研究科がある。
アクセス JR京葉線・武蔵野線 越中島駅より徒歩2分
地下鉄東西線・大江戸線 門前仲町駅より徒歩10分
地下鉄有楽町線・大江戸線 月島駅より徒歩10分
ここでは東京海洋大学にある学科について紹介していく。
東京海洋大学でとれる資格として、際立つのは海技士という資格である。
この資格を持っていないと大型船舶に船長・航海士・機関長・通信長・通信士として乗務することができない。
東京海洋大学では年に2回学園祭がおこなわれている。
6月前後に越中島キャンパスで開催される海王祭と10月下旬から11月初旬にかけて開催される海鷹祭である。
海王祭では海鮮焼きそばなどの模擬店が出展されているだけでなく、屋外イベントとして乗船体験ができる。
国内唯一の海洋大学である東京海洋大学らしい企画である。
またステージでは東京海洋大学の名誉博士であるさかなクンや様々なアイドルが登場し、海王祭を賑わせる。
海鷹祭では模擬店がさらに力が入っており、お昼時にはサラリーマンが買いに来るほどの人気を見せるマグロの漬け丼や他では滅多に食べることができないウミガメの煮込みスープが販売される。加えてプールが釣り堀になっていてニジマス釣りができるなど海洋系であることが全面に押し出されている。
東京海洋大学に入学するには、一般入試・AO入試・推薦入試・帰国子女特別入試・社会人特別入試・留学経験者特別入試のいずれかを突破する必要がある。
東京海洋大学は国立大学であるので一般入試は全学部共通で2月25日に行われる。
海洋生物資源学科・食品生産科学科(前期日程)
出願要件に外部英語資格試験のスコア提出(英検準2級以上、他)を課す
合格最低点(海洋生物資源学科)519.94/900
合格最高点(食品生産科学科) 517.52/900
海洋政策文化学科(前期日程)
国語…国語(100)
数学…数IA必須、数IIB・簿記・情報から1科目、計2科目(100)
外国語…英語・独語・仏語・中国語・韓国語から1科目[リスニングを課す](250[-])
選択《地歴・公民・理科から3(理科基礎は2科目で1科目とみなす)》
地歴…世A・日A・地理A・世B・日B・地理Bから選択(50)
公民…現社・倫理・政経・「倫理・政経」から選択(50)
理科…物基・化基・生基・地学基・物・化・生・地学から選択(50)
※理科は、「基礎2科目」「発展1科目」「発展2科目」のいずれかを選択
※地歴・公民の選択について:地歴から2科目、公民から2科目の選択は不可
個別学力試験 2教科(300点満点)
小論文…(200)
選択(数学・理科から1)
数学…数I・数A・数II・数B(数列・ベクトル)(100)
理科…「物理基礎・物理」・「化学基礎・化学」・「生物基礎・生物」から選択(100)
合格最低点 499.56/900
海洋生物資源学科、食品生産科学科(後期日程)
合格最低点(海洋生物資源学科) 515.74/900
合格最低点(食品生産科学科) 505.21/900
海洋政策文化学科(後期日程)
合格最低点 525.34/900
海事システム工学科(前期日程)
※数学は「数I・II・A・B」、「数I・II・III・A・B」から選択。
外国語は和文英訳(与えられた条件にしたがって日本文を英文に書き換える問題)
合格最低点 764.00/1300
海洋電子機械工学科(前期日程)
数学…数I・数A・数II・数B(数列・ベクトル)・数III(300)
※数学は「数I・II・A・B」、「数I・II・III・A・B」から選択
合格最低点 689.30/1100
流通情報工学科(前期日程)
数学…数I・数A・数II・数B(数列・ベクトル)・数III(200)
外国語…コミュ英語I・コミュ英語II・コミュ英語III・英語表現I・英語表現II(100)
※数学は「数I・II・A・B」、「数I・II・III・A・B」から選択。外国語は和文英訳(与えられた条件に従って日本文を英文に書き換える問題)
合格最低点 626.10/1000
海事システム工学科(後期日程)
理科…「物理基礎・物理」(300)
外国語…コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II(100)
※外国語は和文英訳(与えられた条件にしたがって日本文を英文に書き換える問題)
合格最低点 832.90/1300
海洋電子機械工学科(後期日程)
理科…「物理基礎・物理」(200)
合格最低点 496.30/700
流通情報工学科(後期日程)
外国語…コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II(200)
※外国語は和文英訳(与えられた条件にしたがって日本文を英文に書き換える問題)
合格最低点 733.20/1000
海洋環境科学科、海洋資源エネルギー学科(前期日程)
国語…国語(100)
数学…数IA必須,数IIB・簿記・情報から1科目、計2科目(100)
理科…物理・化学・生物・地学から2科目(100)
※基礎科目選択不可
外国語…英語・独語・仏語・中国語・韓国語から1科目[リスニングを課す](250[-])
選択(地歴・公民から1)
地歴…世界史A・日本史A・地理A・世界史B・日本史B・地理Bから選択(50)
公民…現社・倫理・政経・「倫理・政経」から選択(50)
※出願要件に外部英語資格試験のスコア提出(英検準2級以上、他)を課す。
数学…数学I・数学A・数学II・数学B(数列・ベクトル)(250)
理科…「物理基礎・物理」・「化学基礎・化学」・「生物・生物基礎」から1科目(250)
合格最低点(海洋環境科学科) 632.08/1100
合格最低点(海洋資源エネルギー学科) 619.01/1100
海洋環境科学科、海洋資源エネルギー学科(後期日程)
合格最低点(海洋環境科学科) 527.60/900
合格最低点(海洋資源エネルギー学科) 514.54/900
東京海洋大学は、国立大学では5s(埼玉大学・信州大学・滋賀大学・新潟大学・静岡大学)と、私立大学ではGMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・学習院大学)と偏差値が近いので難易度が同じといわれることが多い。
しかしながら、国内唯一の海洋系大学であり、海に関する勉強がしたいという熱意のある学生が多く受験することに加えて、1学年の定員が500人以下と少なめなので、しっかりとした対策をしなければ合格を勝ち取れないのは明らかである。
東京海洋大学の学費は全学部共通で、入学金が282.000円、授業料が535.800円となっている。
学業成績が優秀で、かつ経済的な理由により修学が困難な学生を対象とした奨学金制度がある。
独立行政法人日本学生支援機構からは無利子と有利子の奨学金が存在している。
東京海洋大学独自のものとしては、修学支援事業基金学資支給事業がおこなわれている。この制度では、授業料免除申請を行った学生から若干名半期10万円の給付がなされる。
東京海洋大学の学生寮として、品川キャンパスの朋鷹寮と越中島キャンパスの海王寮がある。
建物…鉄筋コンクリート5階建2棟
設備…ミニキッチン、エアコン、ユニットトイレ、ベッド、机、椅子、本棚、テレビ端子、ロッカー
共用施設…多目的ホール、自動販売機コーナー、荷物専用エレベーター、洗濯室、シャワー室、トイレ、メールボックス、洗濯室、談話室など
建物…鉄筋コンクリート4階建4棟・2階建1棟 (男子寮4棟、女子寮1棟)
設備…ベッド、机、椅子、本棚、ロッカー、テレビ端子、LANケーブル端子、エアコン
共同施設…談話室、洗濯室、洗面所、トイレ、女子用シャワー室、男子用シャワー室、男子用共同浴場、自動販売機、メールボックス、会議室、多目的ホールなど
東京海洋大学の平成30年度卒業者449名の内、進学した人は277人(52.8%)であり、就職した人は195人(43.4%)であった。
学部別で見ると、
となっており、比較的に海洋工学部は就職者が多いことが分かる。
注:海洋生命科学部及び海洋資源環境学部は2017年度に設置されたため、平成30年度の卒業者には反映されていない。
就職者に関して言えば、製造業と運輸・郵便業に従事する人が多い。これは、食品生産学科などから、海洋に関わる食品製造業の企業に就職する人と、海技士の資格を取得して、大型船舶を動かす企業に就職する人が多いためと考えられる。
東京海洋大学の大学院には
が設置されている。
東京海洋大学の雰囲気としては、比較的少人数であるということもあり、穏やかで平和であると言われています。
また部活・サークル活動も十分に行われているので、充実した大学生活を送れるでしょう。
東京海洋大学のメリットとしては、学生の数が比較的少なく、学生に対して教授の数が多くなるため、しっかりとした指導を受けられることや、TOEICを600点以上取ることが進級要件になっているなど、専門知識だけでなく、総合的な知識を獲得できること、乗船実習などほかの大学では滅多に経験できない授業を受けることができることなどが挙げられる。
参考文献