政治経済をサクッと復習!「社会権」とその成立

政治経済

今回のテーマ

 自然権は人間が最初から持っている権利で、参政権は国家が存在して初めて国家に求める権利であることは説明してきました。今回は、後者の国家に求める権利である社会権について、成立過程を追いながら説明していきます。

夜警国家から福祉国家へ

資本主義社会の発展にともない、20世紀ごろには国家の理想的な形が夜警国家から福祉国家へと変わっていきました。

以前説明があったとは思いますが、夜警国家とは国家に多くを期待せず、文字通り治安維持程度しか求めない国家のことです。小さな政府とも呼ばれるこの形式ですが時代が進むにつれて、より国家に多くの役目を果たしてほしいという人が増えていきます。

一方、福祉国家とは国家が様々な福祉政策を実施し、国が医療保険・社会福祉サービスなどを提供する国家のことを指します。先に出た小さな政府に対して、こちらは大きな政府と呼ばれます。

国家に対して求める権利

社会権は、社会的・経済的な弱者が生活の保障を請求する権利のことです。当然のことながら、この権利は国家に求めるものです。18世紀頃に発生した自由権は国の不当な干渉を排除するためのもので、国家からの自由を求めるものでした。国家が持ちすぎた力を制限するという方向で求める自由でした。

一方、この社会権は医療保険や生活保護のような、国家によって与えられるものを要求する形で成立する、国家による自由です。今までの権利とは意味合いが大きく違うことが、この言葉からも分かる通り、国家に積極的な介入を要求する権利が、この社会権になります。

社会権の成立

1919年に制定されたワイマール憲法では、初めて社会権を保障しました。「経済生活の秩序は、すべての者に人間に値する生活を保障することを目的とする正義の原則に適合しなければならない」という条文にある通り、人間に値する生活の保障が憲法の中で明確に規定されました。

また、所有権には義務が伴うことも明記され、ここに財産権が不可侵の権利ではなく社会的な制約があることを示しました。これ以降の憲法では、このワイマール憲法で定められた内容をもとにした福祉国家の理念を引き継ぎ、今の多くの国の憲法にも反映されています。

国際的な人権政策

人権を守る動きは、第二次世界大戦が終わり成立した国際連合を中心により発展しました。これまではそれぞれの国が自国民の人権を守ることに対して、バラバラな基準で対応してきた中、国連が明確な基準を示しました。

1948年には世界人権宣言を採択しました。この宣言には自由権・参政権にとどまらず、社会権まで保障する内容を含んでいます。政治体制を超えた人権の普遍性を確認したこの宣言ですが、国際法上の拘束力がないため、この後に1966年国際人権規約を採択することになりました。

今回のまとめ

今回出てきた社会権の成立過程は必ず確認しておきましょう。福祉国家と夜警国家の違いについてもよく問われ、その点もよく確認しておく必要があります。また、社会権とその他の人権の違いについて取り違えないようにしましょう。

次回は、この国際的な人権政策の発展についてより詳しく見ていきます。

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