都立中高一貫校に高校からの入学を検討している方へ【高校受験】

高校受験/中高一貫校対策

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先日、高校受験を控えた生徒さんから、最終的に出願するのをどちらにしようか迷っているということで、通常の都立高校にすべきか、あるいは都立中高一貫校にすべきかアドバイスが欲しいとの相談を持ちかけられました。

同じように迷っている人がいるのではないかと思ったので、今回はそのことについて書いてみることにしました。

思い起こせば2005年に、東京都立白鷗高等学校附属中学校が都立としては初めての中高一貫校として開校し、その6年後には在校生が第一期生として初めて大学受験に挑みました。

そしてその結果、なんと東大合格者が5名も出て、白鷗ショックと呼ばれる(良い意味で)衝撃の出来事となったのもまだ記憶に新しいですね。

こうして、白鷗高校にはじまり、以後も全国の公立中高一貫校が大学受験で続々と良い結果を出すようになってきたので、もともと都立を志願している人の間だけでなく私立を志願している人々の間でも公立中高一貫校を検討する動きが出て来ました。

ただ、まだ歴史が浅いためその実態をはっきり掴んでいるご家庭が少ないのはもちろんのこと、塾業界でも情報量やノウハウが不足していて、それが故に進学することのメリットがはっきりと見いだせずに受験するかどうか迷っている人が多いというのが現状だと思います。

したがって、都立中高一貫校の受験を何となく視野には入れているが

  • 通常の都立高校とどう違うのか
  • 入ってから勉強についていけるのか
  • 内部進学性とうまくやっていけるのか
  • 部活はどんな感じなのか

など、情報不足から来る疑問が数多く存在していて決定打がないのが正直なところだと思います。

そこで、今収集出来うる限りのメリットやデメリットを踏まえて、公立中高一貫校が自分に合うかどうかを判断する材料にしていただくための情報をまとめてみようと思います

都立中高一貫校とは

現在ある都立中高一貫校は以下です。

  • 小石川 64
  • 武蔵 64
  • 桜修館 62
  • 両国 62
  • 大泉 60
  • 九段 60
  • 南多摩 60
  • 白鷗 59
  • 三鷹 58
  • 富士 58

これらのうち、太字になっているものが元々あった高校を母体として付属中学校が作られた学校になりますので、高校受験が可能となっています。

これら高校から受験可能な学校を、通常の都立上位校の偏差値表の中に入れ込むと以下のようになります。

日比谷 71

西 71

国立 70

戸山 70

青山 68

立川 67

両国 65

武蔵 64

駒場 64

富士 62

大泉 62

白鷗 60

ご覧いただくとわかるように、歴史ある都立上位校の偏差値とも遜色なく、歴史が浅いのにその実力が伺えます。

都立中高一貫校に高校から入るメリット

では、都立中高一貫校に高校から入るメリットには何があるかというと

  • 私立高校顔負けの、良い進学率を誇るそれぞれの学校独自のカリキュラム
  • 中学受験で挑戦したが失敗した人に、もう一度高校で挑戦するチャンスが与えられる

ということが挙げられますが、それ以外は特に見当たりません。

都立中高一貫校に高校から入るデメリット

ではデメリットはというと

  • 内部進学生の学習進度についていけない
  • 部活に専念できない
  • 内部進学生となじめない

ということが真っ先に挙げられます。

この中で最も深刻なのが、内部進学生の学習進度についていけない、という点です。

なぜついていけないのかというと、中高一貫校は6年間で大学受験で良い成果を出してもらうためのカリキュラムを組んでいるので、高校二年生までにはすべての高校の学習を終えて三年生の一年間は受験対策に専念できるようになっているのです。

したがって、中学から入って来た生徒を基準として考えていて、それらの生徒たちが中学三年生の終わりになる頃には既に高校一年生のほとんどの範囲を履修し終えていることになっている訳です。

ですから当然、高校から受験して入学した生徒たちは、主に公立中学校からの進学者だと思いますから、普通に中学三年生までの範囲しか履修していない状態で入学しても、周りは既に高校一年生を終えて、さあ高校二年生の範囲に入るぞ、という段階なのです。

つまり、入学時点で丸一年間分の差があるという事になるのです。

また、そのような差がある中で、更に中学三年間を一緒に過ごしてきた生徒たちとの交わりに違和感が生まれないはずはありません。それから、都立中高一貫校は大学受験での実績に重きをおいたカリキュラムを組んでいますので、あまり部活動には力を入れていません。

また歴史も浅いため、学生生活を充実させる目的で部活動を楽しみたい人にとっては、少し物足りないでしょう。

都立中高一貫校はあくまで6年間を経るという前提

こうして考えて見ると,都立中高一貫校が大学受験で良い実績をあげて都立上位校と遜色ない偏差値を誇るのは,中学から入って6年間のカリキュラムを経ることが大前提となっていることがわかります。

つまり、高校から入学することが出来るのはもともと単体の都立高校だったからで、制度的にOKというだけで、中高一貫校になった今は既に高入生にとっては入り込むすきがないと思っても過言ではないと思います。

それであれば,同じぐらいの偏差値で全員が高校から入学する、通常の都立高校に進学する方がベターですね。

まとめ

近年注目されている都立中高一貫校ですが、注目されている理由である高い進学実績は中学から入った生徒たちが6年間のカリキュラムを終えたことで得られる賜物であることがおわかりいただけましたでしょうか。

結局、ここでもあまりメリットをお伝え出来なかったように、実際に都立中高一貫校に高校から入るメリットはないと考えて良いでしょう。

ですから、中学で挑戦したけれど失敗してリベンジしたい、という人や、私立の中高一貫校に通っているけれど校風が合わないなど特別な事情があって都立に移りたい、と考えている生徒で、カリキュラムが同じような進度の学校から移るのであれば十分ついていけるので良いと思いますが、高校から入るとそのカリキュラムに追いつくのだけで精いっぱいなのに、日々の学習で容赦なく大量の宿題が課され、さらには3年後の大学受験準備のための学習もあるので、とても時間が足りない、という状態になってしまうのが目に見えているのです。

私がその相談を受けた生徒に伝えたのは、何もついていくことに必死になるのがわかっていて都立中高一貫校に行く必要はないから、それならば今行ける都立に行き、日々の学習に余裕が持てる状態を確保して、中高一貫校でカリキュラムに追いつくのに使う膨大な時間を大学受験準備に費やした方が建設的だ。という意見でした。

考え方は色々あると思いますが、出口である大学入試の実績の良さだけでは語れない、入口や通過点の問題点もよく考えそれでも都立中高一貫校の方が自分に合うと判断するのであれば、ぜひ堂々と受験してみて下さい。

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