物理の中で最も基礎に当たる力学の考え方について、シリーズに分けて書こうと思う。
今回は、力学の 位置、速度、加速度について。
これを読んだだけで力学の全てを理解できる訳ではないが、こんなものかと思ってもらえたら嬉しい。では始めよう。
力学における目的は何だろうか?そう聞かれたら、運動を知ることだ、と答えるかもしれない。
では、何をもって「運動が分かった」と言えるのか?
答えを言ってしまうと、任意の時刻での位置と速度が分かった時、物理的な状態が分かったと言えるのである。
ある時刻の位置と速度が分かると次の瞬間の位置が分かる。それを繰り返していくと、軌道が予言できてしまうのだ。ボールを投げる前から、その軌道が分かってしまう、それが力学の嬉しいことであり、目的の1つでもある。
さて、具体的にはどのように軌道を求めていくのか。まずは、位置、速度、加速度の関係を調べよう。速度は、「単位時間あたりの位置の変化(変位)」で表されるから、
$$v\left( t\right) =\lim _{\Delta t\rightarrow 0}\frac {x\left( t+\Delta t\right) -x\left( t\right) }{\Delta t}=\frac {dx\left( t\right) }{dt}$$
である。同様にして加速度は、「単位時間あたりの速度の変化」
$$\cdot \\ a\left( t\right) =\lim _{\Delta t\rightarrow 0}\frac {v\left( t+\Delta t\right) -v\left( t\right) }{\Delta t} =\frac {dv\left( t\right) }{dt}=\frac {d^{2}x\left( t\right) }{dt^{2}}$$
と表せる。
つまり、位置を時間で微分したものが速度、速度を時間で微分したものが加速度である。
逆に、加速度が分かれば、時間で積分していくことで速度や位置が分かる。(本当は、これらは「ベクトル量」(以下参照)なのだが、簡単のため1次元として書いた。)
次の、力学の考え方②では運動方程式について書こうと思う。