今回は、「経済学をこれから学んでみようかな」、「経済学部って何をしているんだろう」、そんな風に思っていらっしゃる方に、私が大学4年間を通して学んできた経済学について、私なりの紹介をしてみたいと思います。もし経済学を近づきがたい存在に感じているのであれば、このコラムで親近感を持ち、少しだけでも学んでみようと思っていただければ嬉しいなと思います。
初めに、経済学と聞いてどのようなイメージを抱きますか。
そのようなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。私自身も大学進学に際して、学部選択に悩んだ経験があります。実際に、経済学部ってお金のことを勉強するところかなと勝手なイメージを高校時代に抱いていたのは、他ならない私であったりします。
では、経済学とはざっくりと何を勉強するのでしょうか。
井堀『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』において、
経済学とは、「さまざまな人や組織が市場でモノやお金を交換しあう行動を、ある仮説をもとにモデル化し、シンプルかつ理論的に説明しようとする学問」である
と述べられています。
そして大学に入学すると、経済学部では大きく分けてミクロ経済学とマクロ経済学の2つを基礎的には学ぶということを耳にしたことはあるかもしれません。
それでは、それぞれの説明を軽くしてみたいと思います。
まずはミクロ経済学について説明します。ミクロ経済学というのは、神取『ミクロ経済学の力』において、
個々の経済主体(消費者、企業)の経済行動を律する動機・誘因(インセンティブ)を解明し、また結果の良し悪しを国民一人ひとりの利害関係をもとに判断するということ
だと説明されています。具体的には、消費者、企業の行動について学び、それらの行動に基づいて市場がどうなるかということを学びます。当然、市場がうまく機能しない場合も生じてくるため、その原因や対処(政府の介入)等についても学ぶことになります。
一方でマクロ経済学は、笹倉『標準マクロ経済学(第2版)』において、
一国経済のことであり、マクロ経済学の分析の基本単位は国である
と述べられています。具体的には、財政・金融政策について議論したり、ニュースで耳にしたりするGDPやインフレーションを扱ったりするのもマクロ経済学になります。
少々難しい説明にはなりましたが、字のごとくミクロ経済学とマクロ経済学で分析する対象が変わるということです。ミクロ経済学では個々の経済主体、マクロ経済学では国単位で分析をしていきます。この2つを基礎として大学では学び、そこから学生個人の関心に即して個別の分野の勉強を始めるということが基本的なスタイルではないでしょうか。
以上の説明から感じてほしいのは、経済学はお金のことを考えて儲けを生み出そうとする学問ではないということです。私は高校時代に社会科で政治経済を選択していたわけではなかったので、このことは入学後実際に勉強を始めてみてやっと知ることができました。
また、私は経済学を学ぶようになって、ニュースや新聞を面白いと感じられるようになりました。高校生までただ何となく目を通していた経済関連のニュースについて、経済学を学んだことでその決定プロセスや今後起きうる問題等がわかるようになったからだと思います。自分の生活から遠く離れたところで起こっている問題だという先入観も薄れていったように感じています。
もう一つ、「数学ができないと経済学部には進学できないのではないか」という疑問についてもお話したいと思います。
確かにミクロ経済学、マクロ経済学を学ぶにあたって、高校2年生程度までの数学は必要となってきます。入門時点でも微分は非常によく使いますし、最低限としての数学は必要かと思います。
しかし、基礎的なミクロ経済学、マクロ経済学の学習においてはそれだけで十分だとも言えます。もちろん数学が得意であれば、基礎を学んだ後、より高度な数式を用いたモデルについて学ぶ選択をすることも可能です。
一方で、経済史学といって歴史について学ぶ選択もできます。といったことから、「数学が得意でないから経済学部に関心はあるが、進学はできない」という風に考える必要はあまりないのではと個人的には感じています。
以上が4年間学んだ私からみた経済学になります。
高校生までの間には中々触れる機会のない経済学ではありますが、このコラムを読んで、経済学の存在が少しでも遠くないものになれば良いと思っています。
誰でも学びたいと思えば学ぶことのできる学問だと思うので、是非1度挑戦してみてもらえたら嬉しい限りです。