身近だけども知られていない!「知的財産法」のアレコレ

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はじめに

皆さんこんにちは、突然ですが知的財産法は知っていますか? と言ったところで知らないのが当然でしょう。しかし、知的財産法は実生活の多くの場面で役立っています。今回は、知的財産法の基本にあたる知的財産権について知ってもらい、実際の法律がどのように運用されているかなどを知ってもらいたいと思います。
まず、知的財産法とひとくくりに言いましたが、日本の法律に「知的財産法」という法律は存在しません。では、実際にはどういう形になっているかというと、複数の知的財産権を保護するための法律の総称として、知的財産法と呼びます。それぞれ多くの法律が相互に関係することで、多くの知的財産権を守ることができます。
しかし、これでもまだわからないことがほとんどだと思います。そもそも知的財産権なんて言葉を初めて聞いた、という人も多くいることでしょう。というわけで、まずは知的財産権に一体どのような権利が含まれるのか、そのことについて見ていきましょう。

そもそも知的財産権って何?

「知的財産権」という言葉自体、初めて聞いたという人もいるかも知れません。まずは、知的財産権に含まれるものにどのような権利があるのか、その確認から始めましょう。

知的財産権の定義を辞書(大辞泉)で引いてみると

知的な創作活動による利益に認められる権利

とされています。とはいえ、これでもまだフワフワしていて掴みどころがないという印象を持つことでしょう。ですので、具体的な知的財産権を一つ一つ紹介し、説明します。

特許権

みなさんもお店に並ぶ商品で、「特許出願中」みたいに書かれた商品を見たことが一度はあるでしょう。特に新商品だと、こういう表記がされていることが多々あるかと思います。特許権は、簡単に言うと「様々な技術を、他の人に使われないように申請し、保護してもらう権利」です。詳しくは特許法という法律で細かく、様々な条件が定められていますがここでは省略します。特許は申請から基本的に20年で効果が切れますが、それまでは特許権の保持者が特許を自由に使い、他の人は断りなしに使えなくなります。

特許はwebですべて公開されていて、「J-PlatPat」というページを検索すると、そこから調べることができます。もしかしたら、自分が知っている商品も、ここで調べたら出てくるかもしれませんね。

実際にJ-PlatPatで検索してみると、抽象的なワードでも多くの特許がヒットします。さらに、それぞれクリックするとその特許の詳細を見ることが出来ます。もちろん難しい言葉で書かれているものばかりなので、読むのには少々骨が折れますが……

商標権

商標、と難しい言葉で表現されているのでイメージがしにくいかもしれませんが、商品や会社の名前、そのロゴが該当します。実際に、その名前を使って商売をする上で、その名前を赤の他人が勝手に使って、タダ乗りされてはたまらないですよね。そういったことを防ぐために、申請した上で保護してもらうことができます。この権利は10年で切れますが、先に紹介した特許と違い、更新することができます。同じ会社や商品が同じ名前を使い続けられるのは、こういったことで延長できるからだとわかりますね。

これも、同じようにwebで公開されています。特許と同じ「J-PlatPat」上で調べることができます。より馴染みのある商品名や、社名もここから調べることが出来ます。さらに、商標は登録の申込みをした時点で公開されているので、そこからまだ公開されていないアニメやゲームの名称が分かった、なんてことも実はあります。

著作権

著作権と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。もし音楽をやっている人であれば、特にCDや楽譜で著作権について何か話を聞いたことがあるかと思います。実際の所、著作権はそれ以外にも様々なものを守る権利ではありますが、日本ではJASRACのような音楽の著作権保護団体が有名なため、著作権といえば音楽の、というイメージを持つのも当然かも知れません。

著作権は、美術・音楽・文芸・学術など、自分の考えや気持ちを表現した著作物と、それを作った人を守る権利です。一口に著作物と言っても様々なものが含まれ、絵や写真みたいな実体のあるものから、音楽や映画みたいなものも含まれ、さらにはプログラムや建物も著作物のひとつにあたります。

他の知的財産権に比べて、比較的話題に登ることが多い権利です。そして実際に自分で何かを作りたいと思った時に、関わってくることも多い権利ですので、これを機にぜひ覚えておくと良いでしょう。さらに、著作権の特殊性は他の権利と違って「申請しなくても成立する権利」です。

その他の権利

知的財産権にはこれだけではなく、その他にも多くの権利が含まれます。例えば意匠権実用新案権といった、デザインや特許に含まれないような発明も対象です。特に実用新案権は便利グッズなどで申請しているところを多く見かけます。

これらも他のものと同じように、それぞれ対応する法律があります。こういった様々な権利を守る法律を立てることで、多くの知的財産は守られています。

知的財産権を守るために

様々な権利があることは紹介しましたが、今度はそれがどのように守られているのかについて、紹介していきます。もちろんそれぞれの権利については守るための法律が立法されているため、それをどのように運用するか、誰が運用するかについて見ていきましょう。

特許庁

まず、特許などの申請を行う官庁として特許庁があります。特許庁は申請されたもの対する審査を行い、必要に応じて登録したり、あるいは却下したりすることで実際に著作権が守られるような環境づくりを行います。

早口言葉で「東京特許許可局」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、残念ながら日本で特許を登録できる役所はここだけです。ちょっと残念ですね。

裁判所

知的財産法というだけあって、裁判所も当然知的財産権を守るために機能します。イメージしやすい例だと、他人の特許や著作物を勝手に使った、使ってないといったときに侵害訴訟を裁判所で行います。

日本の裁判所が多くの種類に分かれていることは、特に大学で法律を勉強したい人であれば知っていると思います。しかし、知的財産権のうち特許などの侵害訴訟は、その管轄が東京地方裁判所か大阪地方裁判所に限定されています。これは、これらの訴訟を取り扱うには高い専門性が必要とされるため、知的財産部がある裁判所に限定するよう民事訴訟法に定められています。

さらに、知的財産高等裁判所というものも存在します。東京高等裁判所の特別の支部とされていて、ここでは主に特許庁の審決に対して訴えを起こすときと、侵害訴訟の控訴審を扱います。

特許や著作権の裁判で似ているかどうかを判断しなければならない場面は多く、それを知識ない裁判官が判断するというのは難しいです。そのため、先に挙げたような法律での定めがなくても東京地裁と大阪地裁で第一審が行われることがほとんどです。

弁護士・弁理士

弁護士についてはもはや説明不要でしょう。知的財産に関する契約や、法律問題に関する相談、場合によっては裁判に立つなど、様々な形で知的財産法に関わります。日本は比較的この分野の弁護士が少ないと言われています。

弁理士はなかなか聞き慣れない言葉だと思います。一見すると弁護士の誤字ではないか、と思ってしまう人もいるでしょう。しかし、弁理士は知的財産法の分野でたいへん大きな役割を担っています。

弁護士と同じように、年に一回行われる試験に合格する必要がある国家資格の一つである、弁理士は主に特許などの出願業務や訴訟の際の証拠集めなど、いわば知的財産のエキスパートとして働きます。さらには何らかの分野(例:化学・ITなど)に特化した知識を持っていることが多く、その分野での出願などを主な仕事とする弁理士も多くいます。

また、裁判の際はこの両者が協力の上訴訟業務を行うことも多々あります。このように、知的財産法の運用には様々な人が関わっています。

まとめ

ここまで紹介したように、知的財産法は様々な分野に分かれ、さらに運用には多くの人が関わっています。今回紹介した知的財産法に関する情報はまだこの分野の序の口ですが、もし興味を持ったら、大学でぜひ知的財産法について勉強してみてください!

参考文献
  • 田中浩之, ビジネス法体系知的財産法, 第一法規

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