本を読む習慣がなく、そしてあまり好きではない人に、本を読んでもらうことはとても難しいことです。
しかし、日頃高校生に小論文を教えていると、とにかく本を読んでもらうことが大切であると痛感します。
本を読むということは、誰かの思考をインプットするということです。
そしてその「誰か」は、大抵の場合は自分よりも頭が良かったり、想像力が豊かだったり、経験が豊富だったりします。
例えば、大学教授が書いた新書一冊は、その人が十数年以上の月日をかけて身につけた知識と研究の蓄積があって出来ています。それを私たちが一から身につけようとすれば、同じく十数年間、もしかしたらその倍かかるかもしれません。でも、新書一冊を読むならば数時間、数日しかかかりません。
本を読むことは、とてつもなくコストパフォーマンスが良いことです。
しかも、時を超えて読むことができます。私たちは、ソクラテスやアリストテレスの思考をもインプットできるのです。
これを生徒に伝えられた時、今まで教えてきた数年間で1番、生徒の顔が変わったことを感じました。
今では生徒たちの方からこういう分野の面白い本はあるか、と進んで聞いてくるようになりました。
ただ読め読めと言うだけでなく、説明に趣向を凝らすことで、本離れが進んでいると言われている高校生世代を読書の世界に引き込んでいきたいと思っています。