「ⅠAⅡBは出来るのに・・・」数学Ⅲが出来ない学生に送る、数学Ⅲの全体の見通しと勉強方法

数学3

始めに

この記事を読んでいるのは、おおよそ数学Ⅲの学習方法や理解がままならず、路頭に迷っている学生だろう。

数学Ⅲは理系の大学を目指すならばすくなくとも半数の大学が課している科目だ。それだけ数学Ⅲが大学での学習において重要な役割を果たすということである。

筆者の私も理系だが、極限や微分積分、複素数等に関する基礎的な知識を多用している。そんな科目であるからなおさら、勉強法に関する質問は多い。

今回の記事では、数学Ⅲの細かい分野に関する理解を目指すのではなく、全体を通してどういったビジョンがあるのか、どういった理解が必要なのか、勉強法はどういったものがいいのかといった全体的な概要について述べていこうと思う。

 

なぜ数Ⅲを難しく感じてしまうのか?

数Ⅲのざっくりした目次と説明を以下に書こう。

⑴複素数平面

極形式やド・モアブルの定理など複素数に関する事項を扱う。数学Ⅱで扱う複素数の深入り版だと考えて良いだろう。

⑵式と曲線

ある種の曲線(例えば放物線、楕円、双曲線)と方程式とは一体どのような関係があるのかを探求する。二次方程式の扱いや放物線に関する基礎知識があるのが大前提である。

⑶関数

今までのようには扱いにくい無理関数、分数関数であったり、今後の微分をする上で必須の考え方となる合成関数の考え方について勉強する。今までの扱いやすい関数について一定の理解を備えていないと要点を押さえるのは難しい

⑷極限

数Ⅲ独特の考え方である「無限」について学ぶ。その導入として数列を使った後に関数の極限に移動するため今までの内容を理解している必要がある。

⑸微分法

数Ⅱで習ってきた「微分は接線を表している」とはどういう意味なのか。実は極限を使うことによってさらに厳密な定義が可能である。当然極限をつかうので、前単元を理解していることが必須である。

⑹微分法の応用

微分を定義することによって、関数や数列に関する様々な性質が分かってくる。グラフの描写はその最たる利用法である。

⑺積分法

今までのように多項式のみの積分で無く、三角関数や対数関数など様々な積分を学習する。その難易度は数Ⅱよりも断然上であるから、多項式の積分は当然理解必須である。

⑻積分法の応用

微分と同様に、もっと広い意味の積分をみることによって様々な性質が得られる。

 

これが数Ⅲの概要である。諸君はなにか気づいただろうか。私は赤文字を何個か設けたが、これには一定の規則がある。

それは、数Ⅲの各単元には必ず前提条件となる学習があるということだ。

つまりいきなり数Ⅲを勉強しようと思ってもその前段階が完了していなければたいした理解は得られない。数Ⅲの落とし穴はここにある。

私が通っていた高校の数学教師も「高校数学は数学Ⅲを学習するためにある。だから数Ⅲをやるにはすべての基礎を固めていないといけない。」と言っていた。

諸君も一度立ち止まって考えてみてほしい。今本当に1A2Bの範囲の基礎を固められているだろうか。

 

数Ⅲ学習法

上の事を考慮した上で、数Ⅲの勉強法を考えてみよう。

前述の通り、数Ⅲにはすべての単元に前提条件がある。従って、つまずく箇所があったら迷わずその前提の単元まで戻る事が望ましい。

1問例題として扱ってみよう。

【問題】

関数y=\dfrac{x^{2}+3x+9}{x+3}の増減を求めよ。

 

【解説】

数Ⅲではよく見る、関数の増減に関する問題である。まず、分数関数であるから定義域はx\neq-3

またこれを変形すると

y=\dfrac{x^{2}+3x+9}{x+3}=x+\dfrac{9}{x+3}

だから、漸近線x=-3y=x。(x→∞とすればわかる。)

微分すると、

y'=1-\dfrac{9}{(x+3)^{2}}=\dfrac{x(x+6)}{(x+3)^{2}}

これには分数関数の微分を使用した。y'=0とするとx=-6,0。よって、増減表は下のようになる。

ゆえに、x\leqq-60\leqqx単調に増加して-6\leqq x<-3-3<x\leqq0単調に減少する。

これが解答の一連の流れとなる。前提知識を必要とする箇所には赤線をひいておいた。

典型的な1問を取り上げただけでもかなりの広範囲に及ぶ基礎知識を持っていないといけない事が分かるだろう。

この中で例えば「漸近線」が分からなければ、これは関数の単元の双曲線や、極限の分野に戻って特殊な式変形について復習しなければならない。漸近線は関数の特徴を捉える上で必須である。

また増減表が怪しければ、それはもう2Bの範囲であるからそこまで戻ってその性質について復習する。

このように、数Ⅲは様々な分野が入り交じって1つの問題を成しているのである。

 

数Ⅲを学習した後に見えてくるもの

ここでまで私は数Ⅲの重要性や難しさを説いてきたが、果たして本当に数Ⅲは必要な事なのだろうか。受験科目だから必要、といってしまえばそれはそうなのだが、ここでは学問的な視点で見てみたい。

諸君の勉強ないし学問は、当然受験でストップするわけではない。大学に入学した後は、自分の興味に忠実にその真実を追い求める。その際、特に理系(文系も決して例外ではない。大学に入ってから数Ⅲを独学する人も大勢いる)は微分積分を多用する。微積は現象を記述するための基本ツールなのである。

大学側は当然その基礎をなす数Ⅲの内容を既知のものとして進める。よって、数Ⅲを今のうちからしっかり勉強・理解しておくことは今後の学習にも大いに役立つのだ。(逆にその基礎ができておらず、大学での勉強を諦めてしまったひとも私は多数知っている。)メリットは十分あるだろう。

だから是非諸君には、基礎の積み重ねを怠らずに根気よく数Ⅲと付き合っていってほしい。

 

参考
チャート式基礎からの数学Ⅲ

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