外国語に特化した「神戸市外国語大学」!その偏差値や入試情報などまとめ

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 日本に国公立の外国語大学はわずかしかありません。その一つが神戸市にある神戸市外国語大学です。ところで、この大学の英語表記は“Kobe City University of Foreign Studies”です。つまり、外国語だけでなく外国に関する教養全般を学ぶことができる大学なのです。海外との交易の拠点になるなど歴史的に国際的な役割を果たしてきた神戸の地には、真剣に語学・教養を学びたいという学生が集まっています。今回はそんな神戸市外国語大学について調べてみました。

大学概要

神戸市外国語大は戦後に設立された公立大学です。言語に限らない国際的視野を持ち世界で活躍できる人物の育成を目指しており、実際に国際的な舞台で働いている卒業生もいます。また、世界と交流できるイベントを開催している一方で公立大学として地域貢献も行っています。

学校の沿革・理念・使命など

神戸市外国語大学の前身は1946年に設立された神戸市立外事専門学校です。1949年に神戸市外国語大学となり、外国語学部に英米学科、ロシア学科、中国学科の3学科が設置されました。その後学科は増設され、また大学院や外国語学部第2部も開設され、現在に至ります。

大学の教育方針は広い国際的視野に立って活躍できる人材を養成するです。HP上の学長の挨拶にもあるように、外国語を通じて正確な情報を集めること、自分と異なる価値観・世界観を知ること、複雑な問題を理解するために背後にある文化や歴史、社会を知ることが現代社会では重要であると考えています。その上で、学則・目的として

  • 外国語並びに国際文化に関する理論と実際を教授研究
  • 広い国際的視野を具えた人材の育成

を掲げています。[i]

著名な業績や有名人

外国語大学として国際的な役割を果たしており、近年の業績は2016年の「NMUN(模擬国連政界大会)」のホスト校としての開催が挙げられます。NMUNは模擬国連活動の中で最大級のもので、日本で国際大会を開催したのは神戸が初めてでした。また2020年にも再び神戸で世界大会が開催されることが決まっています。また、2019年には「JUEMUN(日本大学英語模擬国連大会)」を開催し、国際社会と外交の現実を実感する機会、世界中の学生と交流する貴重な機会を提供しています。

その一方で公立大学として地域に根付いた活動もしており、地域連携推進センターを中心として地域団体や行政・企業など地域社会のニーズに応えるため様々な地域貢献・地域連携活動に取り組んでいます。具体的には神戸市の教育拠点として神戸市立小・中・高校の英語教育と国際交流を促進する事業の展開、一般市民の方への講演会の公開などです。

著名な卒業生には有名ブランド「KENZO」の創業者であり世界中で活躍しているファッションデザイナーの高田賢三さん、阪神タイガースの球団社長を務めた野崎勝義さん、吉本新喜劇に出演しているお笑い芸人の松浦真也さんなどがいます。また、中国語要人通訳の第一人者や多くの言語学者・文学者などの研究者を輩出しており、東京大学大学院や神戸大学など他大の教授を務めているOB・OGも少なくありません。

学部・学科

神戸市外国語大学は1学部から為る単科大学です。夜間制の学部もあるのが特徴で、語学はもちろん、人文・社会科学も含めたレベルの高い教育を受けることができます。

 学部・学科についての概要

学部は外国語学部の一つしかありません。その中に開設当初にできた英米学科ロシア学科中国学科、1962年に開設されたイスパニア学科、1987年に開設された国際学科の5学科があります。また、第2部英米学科がありますがこれは夜間制となっています。

入学定員

1学年の定員は430人です。内訳は以下の通りとなっています。

表1 学科の定員

(髙橋作成、転載は名前・記事名を明記の上で許可)

学生数は外国語学部全体で1733人、第2部英米学科と合わせ大学全体で2148人です。男女比はおよそ1:2となっています。また近年は定員とほぼ同じ数しか入学していない傾向にあります。

キャンパス・周辺地域の環境

キャンパスは神戸市内にあり、神戸市営地下鉄の「学園都市」駅から徒歩3分の好位置にあります。市内の中心地からは少し離れた場所にあり、JRの大阪駅から1時間、三ノ宮駅から25分ほどで着くアクセスです。コンパクトなキャンパス内には校舎の他にグラウンド、体育館、テニスコートなどの運動施設もあります。近隣にはいくつか他の大学もあるため駅前には飲食店やスーパー、コンビニ、書店などが揃っており便利だそうです。

学科・専攻

ここでは各学科について記していきます。コース科目では「語学・文学」「法律・経済・商業」「総合文化」「国際コミュニケーション」の4つのコースの中から選択した専門科目を履修します。

  • 英米学科[ii]:少人数クラスによる高度な英語力と英語圏の言語・文化・文学に関する教養の修得が目標です。また英米に限らない異文化理解・コミュニケーションのスキルを身に付け、少人数のゼミではテーマについて研究・発表する能力も養います。
  • ロシア学科[iii]:全国でも数少ないロシア語を専門的に学べる学科です。アルファベットの学習から始まり、文法理解と発音を両立させて会話・文章読解によるロシア語の運用能力向上を目指します。また過去から現在に至るロシアの社会や文化についても学びます。
  • 中国学科[iv]:ネイティブ教員による発音指導を徹底的に行い、4技能を実用的に訓練します。また、激動する中国の社会情勢や経済を理解するために中国に関する専門知識を身に付け、広大な中国・中国語圏の多様性に対応できるコミュニケーション能力を養います。
  • イスパニア学科[v]:ネイティブ教員の指導や時代に応じた文献・音声教材などにより、イスパニア語(スペイン語)で自分の主張を表現する実用的な能力を養います。またラテンアメリカも含めたイスパニア語圏の文化や歴史、文学などの面からも言語を理解します。
  • 国際関係学科[vi]:時事的な英語とともに国際情勢や外国の政治・経済・文化を理解し国境を越えて広がる複雑な課題に柔軟に対応できる国際人の養成を目指します。そのため法律・政治、経済・経営、社会・文化などの専門科目を用意し、複数言語の修得も奨励しています。
  • 第2部英米学科[vii]:日中に働いている学生を対象とし、主に夜間(17:50~21:00)に授業を行っています。教授陣や授業内容等は学部の英米学科とほぼ同じとなっていますが、所属するコースは「語学・英語研究コース」「英語圏文化文学コース」「法経商コース」のいずれかです。在学中に勉学条件などが変更した場合は学部への転部制度もあります。

特徴・資格

HP上の「教育の特色」[viii]の項目には

外国語、国際経済、その他国際文化に関する専門教育

専攻する言語について高い運用能力

各地域に関する言語、文化、政治、経済などの多角的、体系的学習

とあります。このように外国語大学ならではの言語教育と、並行して文化や政治などについても学べるのが特徴と言えるでしょう。

外国語大学ならではの国際交流も特徴です。留学制度・支援は充実しており、説明会や相談会などを開催し、留学費用の補助や奨学金による援助、海外の大学での単位を大学での単位と見なし4年間での卒業が可能となる単位認定制度の整備などを行っています。また、休学して私的に留学する学生に対しても円滑な留学ができるような支援をしています。この他にも国際交流センターでは様々な国際交流イベントを開催しています。

資格に関しては、教職課程を設けており英語、中国語など専門とする言語などの中学校・高等学校の教員免許を取得することができます。また第2部には司書課程、学校図書館司書教諭課程が開設されておりこれらの免許の取得も可能です。

名物行事や教授・講義など

名物行事には「外大祭」「新顔祭」「語劇祭」があります。
「外大祭」は大学の一大イベントと言える学園祭です。毎年10月の終わりに2日間開催され、吉本お笑いライブやゴーストハウス、フリーマーケット、模擬店、ガラガラ抽選会、様々な展示企画などが目玉です。ステージ企画は当日参加も可能であり、規模は大きくないながらも非常にアットホームな雰囲気の中で行われます。2017年度のお笑いライブには2018年度のM-1グランプリで優勝した霜降り明星が出演したなど要注目のお笑い芸人を見られるチャンスです。「新顔祭」は4月に開催される、在校生向けの春イベントです。主に入学したばかりの新入生を対象とした様々な企画が催されます。音楽系・ダンス系などのサークル、部活によるステージ発表や新入生の学籍番号で選ばれる宝くじ企画、ビンゴゲームなど楽しむための企画の他、在校生と新入生でペアになっていくつかの課題に挑戦するステージ企画「相棒」や好きなものや興味があること、趣味などが合う人同士が集まる「出会いサロン」といった先輩や友達に出会うための企画、「教授展示」や「外大一周ラリー」などの大学を知るための企画など、新入生が不安を解消するのに役立つものがたくさん揃っています。もう一つ、「語劇祭」は70年の歴史をもつ大学の伝統行事です。学科ごとに5つの劇団に分かれ、それぞれ専攻する言語を用いて劇を上演します。演目選び、衣装づくりや照明、音響、舞台装置、更に日本語字幕作成まで全て学生が行い、教員も台本の選定などで発音指導の面でサポートする大学を挙げた行事です。学生にとっては語学力、文学作品・文化への理解の向上に役立つ教育効果があり、更に内容もコメディやサスペンス、悲劇など多岐にわたっているので一般客でも楽しむことができます。

学生からの評価が高い授業としては、経営学の前提知識となる理論を様々な企業の経営戦略、身近な実例に沿って学ぶ「経営入門」、アメリカの社会問題について、歴史・文化・環境・政治などの観点からディスカッション等も交えながらオールイングリッシュで学ぶ「米国の社会」、貧困・紛争・環境問題など広い観点から、現代の社会問題を報道されていないような部分も考える「現代の政治」(教授のお話が非常に面白いそうです!)、ヨーロッパの自然科学について、古代の哲学からのつながりも考えながら学ぶ「西の科学」、メール例文や実際に使われている書類をもとにビジネス英語を学ぶ「商業英語」などがあります。語学に関する授業だけでなく、人文・社会科学の授業が非常に充実しておりレベルも高いことが特徴です。

また教員もレベルの高い人物が揃っており、NHKの『テレビでスペイン語』『旅するスペイン語』の講師も務めているイスパニア学科教授の成田瑞穂さん、文芸批評家で著書も多い国際関係学科教授の丹生谷貴志さんらがいます。

入試情報

全国でも数少ない国公立の外国語大学とだけあり、日本各地から学生が集まっています。難易度も東京外語大に次ぐレベルです。入試方式はいくつかあるので、自分に合った方式を選択したうえで十分な対策をお勧めします。

入試種別

入試方式は一般入試(前期日程、後期日程)、AO入試、推薦入試(全国枠、神戸市内枠)、その他帰国子女向けなどの特別入試があります。この中で推薦入試(全国枠)のみ第2部英米学科の募集はありません。下の表は入試方式ごとの定員です。AO入試の募集人数は若干名となっています。

表2 入試方式ごとの定員

(髙橋作成、転載は名前・記事名を明記の上で許可)

受験日程/科目/難易度/平均点など

一般入試の日程は他の国公立大学と同じで前期が2/25、後期が3/12です。前期試験の科目はセンター試験が4教科4~5科目(国語、外国語に加え数学、理科、地歴・公民から選択)と個別試験が外国語の1科目、後期試験の科目はセンター試験が3~4教科4~5科目(国語、外国語に加え数学、地歴などから選択)と個別試験が小論文になります。

AO試験は9月の上旬に出願し、10/19と10/20に試験が行われ、体験授業をもとにしたレポートと面接、書類(英語外部試験の成績や調査書など)によって評価されます。

推薦入試の試験日は全国枠、神戸市内枠ともに11/30で、選抜方法は英語能力判定と小論文、面接、書類(推薦書、調査書など)です。神戸市内枠とは「地域における高等教育機会の提供」という公立大学の役割を果たすためのもので、神戸市に住所を有する者、または神戸市内の高等学校を卒業した者に出願資格があります。

倍率は前期試験がおよそ3倍、後期試験が学科によっては5倍になるところもあり、合格者のセンター試験得点率は前期で約80%、後期で85~87%です。また個別試験の合格者最低点は200点満点中約100点となっています。偏差値の面から見れば、日本にある外国語大学としては東京外語大に次ぐ難易度を誇っており十分な対策の上挑むと良いでしょう。

学費・奨学金制度

学部の授業料は他の国公立大学と同様年間53万5800円で、第2部はその半額の267900円になります。また入学金は神戸市内の学生とそれ以外の学生で異なります。その他に必要な諸経費の詳細は以下に記す通りです。神戸市内の学生とは神戸市民、およびその子弟のこととされています。

表3 学費について

(髙橋作成、転載は名前・記事名を明記の上で許可)

奨学金は、様々な奨学金財団などによる給付のものと日本学生支援機構、地方自治体による貸与のものがあります。また、留学生を対象とした奨学金も用意されています。「荻野スカラシップ」は海外の大学等に1年以上留学する学生を対象に、留学先大学の授業料相当額(上限150万円)と準備金100万円が支給されるというものです。また大学の海外派遣留学制度を使って海外へ行く学生に対しては留学費補助制度があり、成績による判断のもとで留学制度に応じ5万円~50万円が支給されます。

奨学金の他に授業料の減免制度もあります。これは学業成績が優秀で所得が基準以下の学生、または学資出資者が天災等で支払いが困難になった学生に対して授業料の全学または半額を減免する制度です。

学生寮

大学が所有する学生寮はありません。一人暮らしや下宿をする学生は学園都市駅のある地下鉄西神・山手線沿い、電車と徒歩で20分以内に着く場所に住むことが多いようです。また学園都市駅の近隣にも賃貸マンションやアパートは多く、スーパーなどもあるので生活には困らないでしょう。全体のうち近畿以外の出身の学生は50%ほどです。

進路実績

2018年度の就職率は学部・第2部合わせて98.97%と高い数字を誇っており、英米学科や国際学科など4つの学科では100%となっています。定期的にキャリア支援関係行事が開催されており、また外国語を話せる人材の需要が高いこともこの高い就職率の背景となっているでしょう。

進学・就職実績

2018年度の就職者386人のうち、公務員は30人、教員は13人、その他が民間企業への就職です。公務員は外務省など国家公務員と神戸市役所といった地方公務員のどちらもおり、また民間企業もメーカー、貿易・商事、旅行・サービスなど多岐にわたっています。4年間で身に付けた語学力を活かせる職種に就いている卒業生も多いようです。

キャリア支援関係行事は主に毎週水曜日に開催されており、低学年向けのセミナーや就職基本ガイダンス、OBの講演といった全般的なものから公務員の相談会や地元企業の説明会など特定の層に絞ったものまで多数用意されています。またキャリアサポートセンターでは就職相談・進路相談やイベントの開催、インターンシップや低学年向けキャリアデザイン講座の実施などを行っており、進路に関することを広く受け付けています。

進学者はそれほど多くなく、2018年度卒業生のうち進学・留学したのは12人のみです。内訳を見ると英米学科と第2部英米学科で大半を占めています。

大学院・研究機関の概要

大学院は修士課程と博士課程があり、修士課程には英語学専攻、ロシア語学専攻、中国語学専攻、イスパニア語学専攻、国際関係学専攻、日本アジア言語文化専攻、英語教育学専攻の6つの専攻が、博士課程には文化交流専攻の1つの専攻が置かれています。また博士課程の文化交流専攻には言語コース、文化コース、国際社会コースの3つのコースが設置されています。学生数は修士課程が93人、博士課程が29人で合計122人です。修士課程では日本アジア言語文化専攻や英語教育学専攻に多くの学生が所属しています。

研究所は外国学研究所が設置されており、海外の研究機関との連携の推進や海外・学外との共同研究プロジェクトの実施と成果の発表、地域貢献の推進等の事業を行っています。

大学の雰囲気/メリット/体験談

大学の雰囲気を一言で表すなら「アットホーム」でしょう。学部が一つしかないことからも分かるように、人数もキャンパスの面積も非常に小規模な大学です。キャンパス内は緑豊かで落ち着いた空気が流れており、校舎間の移動も楽にできます。専攻が同じ人同士はもちろんのこと、学科が違う人でも知り合い・友達ができやすいのが特徴の一つです。専門の学科の授業は4年次までクラス単位の授業があるためクラスメイトとのつながりは特に強くなるそうです。日本各地から集まってきた友達との交流は非常に楽しいものになるでしょう。

語学の授業など専攻の科目は少人数クラスで行われますが、教授と学生の距離も近いので分からないことを質問しに行きやすいのもメリットと言えます。ネイティブの先生に教わることで正しい発音が分かるので、将来本当に使える外国語が身に付くことも間違いありません。

部活やサークルは数こそ多くないものの、活発に活動しています。体育会の部活はサッカー部、剣道部、ダンス部などメジャーなものからラクロス部やホッケー部など大学から始める人が多いものもあります。文化部にあたる文化総部には室内楽団など音楽系の部活や劇団、語学系の部活が多いのが特徴です。また、他大学とのインカレサークルに所属してそこで交友関係の幅を広げる学生もいます。

自由度が高い大学ですが、まず自分で動いてみることが重要です。多くの学生が卒業までに留学を経験しますが、大学側から半強制的にプログラムを提示してくれるようなことはなく、交換留学や長期派遣留学の制度も募集人数が少数で全ての学生が出来るわけではありません。そのため、休学して留学する人も多くそれに対する不満の声もありました。しかし、自分次第では何でもできるということでもあり、ただの語学留学ではなく海外で専門科目を学んだり、海外インターンやワーキングホリデーを経験したりする学生も多いそうです。休学し世界一周する学生もいるとか。意識・向上心の高い学生が多く良い刺激を受けることができるでしょう。

[i] 神戸市外国語大学HP 「大学案内 学長挨拶/教育方針」

[ii] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 英米学科」

[iii] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 ロシア学科」

[iv] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 中国学科」

[v] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 イスパニア学科」

[vi] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 国際関係学科」

[vii] 神戸市外国語大学HP 「学科紹介 第2部英米学科」

[viii] 神戸市外国語大学HP 「大学案内 学長挨拶/教育方針」

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