上手な説明とは? 実例エピソードから学んだ2つのポイント!

これでもあなたも説明上手?; 説明がうまいと思ったエピソード集

なにか説明を受けたとき、「この人の話分かりやすい!面白い!」とすぐに理解できるときと、「あれ、どういう意味だろう?」と理解に苦しみ混乱するときがあります。なにが、このような違いを生むのでしょうか。私がお世話になった塾のS先生は、話が上手く、説明も上手いです。そのS先生の説明が上手いと思ったエピソードを挙げながら、「上手い説明」について考えていこうと思います。

私が高校生の頃、国語の授業で1つ文学作品を選び、それついてプレゼンテーションをすることになりました。伊勢物語や曽根崎心中など、複数個ほど挙げられた作品から好きなものを選択して、好きなテーマで行っていいと指示され、私はこのとき、「曽根崎心中」を選び、「恋愛と心中」というテーマに決めました。知っている方も多いとは思いますが、近松門左衛門作の「曽根崎心中」は江戸時代に書かれたものです。遊女のお初と手代の徳兵衛が、恋に落ちるも、最終的には2人は死を選ぶという悲しい心中のお話です。私は、この結末に共感ができませんでした。漠然とこの結末にもやもやとした感情を覚えていて、「こんな結末なのに、なぜ曽根崎心中は当時流行ったのだろう」と思い、「恋愛と心中」というテーマにしました。ですが、自分でもなんでこの結末にもやもやしているのか分からないのに、他人に上手くプレゼンテーションをできるか、「曽根崎心中」を上手く説明・解説できるかが不安でした。そんな不安を解消してくれたS先生について紹介します。

私の塾のS先生は、小論文・国語担当の先生で、私は普段小論文の授業でお世話になっていました。私にとって小論文を論理立てて書くことが苦手で、どのように論述を読み解くのも分からず、苦手でした。しかしS先生の授業は、不思議なほどすんなりと理解できるのです。他の授業の先生の説明は退屈で、上の空で聞き流してしまうことがあったのですが、S先生の説明はなぜか耳に残り、「なるほど〜」と納得することが多かったのです。そんなS先生に、まずは「曽根崎心中」の結末である心中に共感できないから、なぜそのお初と徳兵衛は心中を選んだのか考察したいと伝え、アドバイスを求めました。そうしたらS先生は私に「曽根崎心中」の説明をしてくれました。その説明が上手いと思った理由は、時代背景を捉え、さらには自分たちの時代と比較しているという点です。私が曽根崎心中の結末を理解できず、共感もできなかったのは、私が江戸時代の人ではないからだということに気付かされました。「曽根崎心中は、江戸時代に書かれたのだから、まずは文学を分析するよりも、その文学が書かれた時代を分析することが重要」というS先生の言葉が印象的でした。そこで、曽根崎心中が書かれた江戸時代の中の元禄という時代について、先生は「この時代は、幕藩体制が安定して、戦のない平和な世になったこと、武家から庶民へ文化が移り変わり元禄文化が花開いたこと、その一方で人々は身分制度や家制度に縛られていたこと、そして切腹などの「死」は当たり前であった時代です」と、説明してくれました。分かりやすいなと思ったところは、「変化してきている点(つまり平和な世に変化したこと、庶民文化へ変化したこと)」と、「変化していない点(つまり身分制度があったこと、「死」は当たり前であったこと)」というように、対照になる2つを分類して説明してくれたところです。そしてそれを、図を作って視覚からも理解しやすいようにしてくれました。その時代の特徴をバラバラと箇条書きのように説明されても、脳内で上手く整理できず、分かった気になってしまうと思います。しかし説明する側が先に、要点を分類して上手く整理されたことを話せば、頭の中で「変化した点」「変化していない点」というように図式ができあがり、すんなりと受け入れることができます。さらに言葉だけでなく、図があることで、よりイメージしやすくなるという利点があります。

(出典:illustAC

もう1つ、S先生が説明をするときは、必ずやることがあります。それは、必ず質問をするのです。例えば、「ではもし本当に愛する人と結ばれないという状況になるとしたら、どうして結ばれないという状況が起こると思う?」と聞かれました。そこで私は「この時代は自由恋愛だから、よっぽどのことがない限り、『結ばれない恋愛』はないと思う。結ばれないとしたら、両親が頑固反対するか、法的にアウトのものくらいしか思いつかない」と答えました。そのあとに続いた会話がこちらです。

S先生:「じゃあもし本当に大好きな人との結婚を、両親や周りの人が反対したらどうする?」私:「本当に大好きならば、両親の反対を押し切り、結婚して、2人で暮らすと思う」

S先生:「そうだよね、家より恋愛をとるし、お初と徳兵衛みたいに「死」を選ぶことはないよね」

このような会話をしているうちに、自分に置き換えて想像したり考えたりすることで、先生の説明がより頭に残り、分かりやすくなっていたことに気付きました。理解しにくい違う時代の文学を、こうやって想像を働かせるようにして質問をしながら説明をする技法は分かりやすくて、上手だなと思いました。よく講義やセミナーなどで、説明する側が一方的に説明をしますが、分かったような気になりながらも、実は表面上でしか理解していないことってよくあると思います。これを「一方通行型」だとします。これに対し、「あなたはどう思うか」「その理由はなにか」など会話のキャッチボールがそこにあれば、自分の中でその話を消化しようと頭が働きます。こういった「キャッチボール型」の説明の方が理解しやすいのではないでしょうか。

(出典:illustAC

「説明」はただ物事を相手に分かりやすく話せばいいというものではありません。一方的に話すだけでは、伝わらないのです。今回の例を参考にして、まとめると「上手な説明」には2つポイントがあります。

1つは、

何に焦点を置くべきなのか、伝えたい要点を整理してから、図を用いりながら説明すること。

もう1つは、

質問など相手を巻き込みながら説明することです。

この2点を意識するだけで、説明がうんと分かりやすく、そして上手になるのではないでしょうか。

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