数学Ⅲをわかりやすく!「不定形」・「無限」とは

数学3

多くの受験生が抱える「」への違和感と不定形との関係性

数学Ⅲの学習を始めて複素数平面が終わると、いよいよ極限の分野に入る。極限は数学Ⅱにおいても微分の定義づけをするために導入されたと思うが、数学Ⅱのそれと全く違う点は「無限」という概念が出てくることだろう。

読者諸君は数学でいう無限とは何か説明出来るだろうか。この無限が何を表すかしっかり理解していないと数学Ⅲで無限に強く関連のある「不定形」を習得することが難しくなる。

今回の記事では、無限の考え方と不定形について解説したのち、演習問題を通してその理解を深めていただきたい。

」は数ではない!

無限と聞くと無限に大きい数、すなわち1001000が到底小さく感じられる数だと思ってはいないだろうか。これは多くの受験生が勘違いしている事実なのだが、\infty」というのはあるひとつの非常に大きな数を表しているわけではない。例えば下の例を見てみよう。

\infty+\infty=\infty

これは教科書にも載っている無限計算のひとつだが、読者諸君の中でこの計算に違和感を覚えたものはいないだろうか。普通「\infty」を数として計算するのならば、\infty+\inftyの答えは2\inftyになるのではないか?そう思った人も少なくないはずだ。

私自身も初めはそう思っていたからその違和感に関しては同意する。ではなぜこのような計算になっているのか。

実は、「\infty」はひとつの数を表している訳ではなく、その「状況」を表している。つまり「\infty」とは「非常に数が大きい状態」という訳だ。

従って上記の式も意味付けをすると「非常に数が大きい状態同士を足したとしても非常に数が大きい状態を保つ」ということだ。2\inftyにならない理由は納得できただろうか。

「状態が分からない」から不定形は生まれる

前章で\infty+\infty=\inftyについて触れたが、当然\infty-\inftyについても検討がなされる。プラスの時と同様に意味付けをしてみよう。「非常に数が大きい状態から非常に数が大きい状態を引く」ということになる。これは先ほどの場合と違い状態は確定しない事が感覚で分かるだろう。

0になるのか、そのまま無限になるのか・・・これが不定形の事である。読者諸君は教科書等で不定式という言葉について習っただろうが、このようにその中身を理解出来ていただろうか。不定式にはこのほかにも様々な形がある。下に一例を示そう。いずれも不等式と言われる理由は、「状況が定まらない」からである。

\dfrac{\infty}{\infty}\dfrac{\infty}{0}

従って、このような状況の定まらない極限を計算する場合、ある種の状況が分かる式に変形する必要がある。

不定形=適当な形に変形という考え方はここから来ているのだ。この変形の意義を理解せずにただひたすら計算を練習していても力はつかない。

いまここで始めて不定形の意味を理解してこそ、演習の意味がある。次の章では具体的にその計算の練習をしていこう。

不定形の意味を理解した上での極限の練習

・・・次の極限の値を求めなさい。

解説

  1. 1を試しに代入してみると\dfrac{0}{0}となり状況の定まらない不定形である。従って適切な式変形が求められる。x^2-1(x+1)(x-1)と因数分解が出来るので、
  2. \inftyを実際代入してみると、\inftyとなり状況の定まらない不定形である。数学Ⅲでは良くある変形だが、分母と分子それぞれを\sqrt {x}で割ると問題の極限は
  3. \inftyを実際代入してみると、\infty-\inftyとなり状況の定まらない不定形である。この場合は、式全体を分数の分子と見立てて分母と分子に\sqrt{x+1}+\sqrt{x}をかけると計算が上手くいく。

    ちなみに、混同されやすいが\inftyは不定形では無い。状況を考えてみれば分かる。1をとんでもなく大きい数で割った状況は、限りなく0に近づいていくだろう。分子は1に限らず他の定数でもよい。

  4. 実際に\inftyを代入してみると、\infty+\inftyという答えになる。これは先ほども扱ったとおり、状況としてはとてつもなく大きい数字同士を足した状況である。もちろん常用に変化は無い。答えは\inftyである。
  5. 実際に\inftyを代入してみると、\infty(\infty+\infty)となる。もちろんこれもとてつもなく大きい数字を足した後さらにかけているのだからとてつもなく大きい数がある状況に決まっている。答えは\inftyである。
  6. 実際に\inftyを代入してみると、それぞれの分数が\dfrac{1}{\infty}という形になる。先ほども言ったとおりこれは不定形では無い。従って、答えは0となる。

勘の良い読者は気づいただろうが、上の3つが不定形になる極限下の3つが不定形にならずそのまま計算出来る極限である。

それぞれの形をしっかり見極めることが重要だ。「\infty」が数ではなく状況を表すと知っていれば難しくは無いだろう。

発展問題

不定形をしっかり理解した人向けに、ひとつ発展的な内容の問題をひとつおいておく。立教大の問題である。

が存在するようにaの値を定めよ。

解説

与えられた式の分母、分子にをかけて整理すると、

ここで、のとき分母と分子の極限は以下のようになる。

(分母) → 0   (分子) → -(2a+\dfrac{1}{4})

このとき、もし-(2a+\dfrac{1}{4})の極限値が0に近づかない場合、\dfrac{c}{0}cは定数)となってその値は±\inftyになってしまう。

そこで、極限値が存在するために必要なのは分子が0に収束することである。従って、a=-\dfrac{1}{8}が必要。実際a=-\dfrac{1}{8}を代入すると、極限値が存在する。これは自分で確かめてほしい。

まとめ

今回の記事では、「\infty」があわらすものはどういったことなのか。そこから発生する不定形とはどういったことなのかを理解優先で述べた。

\infty」の概念は最初受け入れにくく、なかなか自分の中で理解するのは難しい。数学Ⅲはこういった今までにない概念が登場するが、ひとつひとつ自分の中に落とし込んでいってほしい。

読者諸君にはこの記事だけで止まらずもっと教科書等で演習を積んでくれることを祈っている。

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