先生になりたい人ばかり?東京大学教育学部ではどのようなことが学べるのか

大学はこんなところ; 専門科目の概要を少しだけ紹介します!

教育学って?

皆さんは教育学部と聞いてどんな場所を思い浮かべますか?名前の通り「教育について学ぶ」ところではありますが、ざっくり教育といってもアバウトすぎてイメージが湧きにくいかもしれません。

今日は教育学部の中でも、東京大学教育学部ではどのようなことを学べるのか?ということについて詳しくご紹介したいと思います。

「なんとなく教育学に興味があるけど具体的に何を学びたいのか分からない…」そのような人は是非読んでみてください。

東京大学教育学部について

特徴

東京大学のHPによると、2019年5月時点での総学部学生数は約6000名ですが、そのうち教育学部生は100名強と約60分の1程度しかいません。例えば同じ文系の文学部でも338名、経済学部は355名であることと比較しても、かなり小規模な学部であることが分かるでしょう。人数が少ないため授業中はアットホームな雰囲気です。

法学部や経済学部のような人数の多い学部では、大きな講義室で多くの生徒が一度に講義を受ける、いわゆる「マンモス授業」が行われることが多いですが、教育学部の授業ではそのような場面は少なく、教授と生徒との距離も近いです。また学科ごとの人数も10人〜20人程度とそこまで多くないため、同じ学科の人とはかなり親しくなります。

教師になるとは限らない!?

教育学部と聞いて、「教員を目指す人が行くところ」と思っている人もいるかもしれません。しかし、教育学部に入っても必ずしも教師になるとは限りません。むしろ教師にならない人の方が多いくらいです。教師以外の進路には、例えば大学院に進んで専門的な研究を行う、あるいは民間企業に就職するなどが挙げられます。教師になりたいわけではないけれど、「教育学」への純粋な学問的興味を持つ人たちが多いようです。

東大教育学部の3つの専修

さて、東京大学教育学部には3つの専修(基礎教育学専修、教育社会科学専修、心身発達科学専修)と、そこから派生する5つのコース(基礎教育学コース、比較教育社会学コース、教育実践・政策学コース、教育心理学コース、身体教育学コース)があり、生徒は各々の興味分野に応じてコースを選択します。実際にどのようなことを学んでいるのか、それぞれ見ていきましょう。

基礎教育学

基礎教育学専修には基礎教育学コースがあります。ここでは名前のように「教育の基礎的な部分」について学びを深めます。「教育ってそもそも何なのか」、「教育と人間はどのように関わってきたのか」などの問いを持って教育について考えたい人にはオススメのコースです。基礎教育学コースのHPには以下のように書いてあります。

本コースは、このような−−もちろん実際にはもっと多様な−−問いを持って、教育とか人間とかをもう一度ていねいに考えてみたい、という学生にはうってつけのコースです。また、教育に関わることを勉強してみたいのだけれど、まだこれだという方向を絞りきれないという人にもぴったりだといえるでしょう。ともかく、教育や人間のことをじっくり考えてみたいという気持ちさえあればいいのですから。

基礎教育学コースでは、主に4つのアプローチで教育を捉えていきます。

まずは哲学的手法です。哲学は教育に関する様々な概念について根本から問い直します。次に歴史学的アプローチです。歴史学は教育の歴史を追うことで現在の教育にも結びつけます。3つ目は人間学的アプローチです。人間学は人間とそれを取り巻く社会についての学問全般のことを指します。とりわけこのコースでは教育と人間、そしてそれを取り巻く社会との関係を学びます。最後に臨床学的アプローチです。哲学のような抽象的事象を取り扱う学問とは対照的に、臨床学では「実際に教育が行われる場面」に焦点を当て、人間と教育との具体的な関係を学びます。

教育社会科学

次にご紹介するのは教育社会科学専修です。この専修内には比較教育社会学コース教育実践・政策学コースがあります。同じ専修下に配属されているだけあり、これら2つのコースは研究領域が非常に似ていますが、違う部分もあります。ではそれぞれの特徴について順に追っていきましょう。

比較教育社会学コース

比較教育社会学コースでは、社会学の視点を取り入れ、社会現象として教育を捉えることを目的とするコースです。例えば、近年日本では教育格差や不登校・いじめなどが毎日のようにニュースになっていますね。また、このような教育に関する課題は国内のみで起きるわけではありません。グローバル化が進む昨今では発展途上国への教育支援や国際協力なども課題の一つです。このような教育問題は教育と現代社会との関わりの中で生じるため、このコースでは教育と社会問題と関連付けて学んで行きます。

教育実践・政策学コース

同じく教育社会科学専修を構成している教育実践・政策学コースですが、こちらは教育の「現場」を重視しているという点が特徴です。

実際の教育現場ではどのような方針のもとに教育が行われているのか、学校や教育委員会など教育に携わる組織はどのようにして運営されているのか、など現実における実践的な制度や政策を学ぶことができます。

教育と社会との関係に興味がある人のうち、「色々な教育を比較したり、社会学と絡めて教育を学んでいきたい!」という人には比較教育社会学コースを、「現実の場面で実践的に行われる教育について学んでいきたい!」という人には教育実践・政策学コースをオススメします。

心身発達科学

最後にご紹介するのが心身発達科学コースです。このコースは教育心理学コース・身体教育学コースの2つで構成されています。

教育心理学コース

教育心理学コースは名前の通り、心理学的側面から教育を捉えることを目的としています。幼児教育を例にとってみると、幼いときに親から受けた教育がどのような心理的影響を与え、その影響が子供の成長後にどのような形で現れるのか、といったことが取り上げられます。また教育心理学という名前から考えると少し意外かもしれませんが、このコースでは「芸術と心理学の関係」についても扱っています。例えば芸術家が絵を描いたり、音楽家が楽曲を制作したり、ダンサーがダンスを創作したり…などといった芸術創作の場面において、創作者の心理状況が作品にどのように影響するのか、ということを研究しています。このように教育だけではなく、芸術に興味を持っている人にも必見のコースです。

身体教育学コース

このコースは主に身体に関する教育を扱います。今日、若者の間では「やせ志向」、「いじめ・不登校」、「妊娠」などといった問題が深刻化しています。また中高年の生活習慣病や高齢者の寝たきり問題などもの現代社会特有の課題です。これらの問題は肉体的な健康だけではなく、「精神的/こころの健康」にも大きく関わっています。

身体教育学コースは、このような社会に存在する身体と心に関わる様々な教育について幅広い研究を行っています。また同時に、このコースは自分自身の健全な身体と心を育むことを目的としている、という特徴もあります。正しい健康観を身につけたい、スポーツや身体の仕組みに興味がある、といった人にはぴったりのコースです。

まとめ

このようにざっくり「教育について学ぶ」といっても、その方法は多岐にわたるということがお分かりいただけたでしょうか?教育学には色々なアプローチの仕方があり、社会学や心理学といった他の学問との結びつきも深いです。

今日は「教育学とはどのような学問なのか」についてお話ししました。皆さんも自分の興味のある学問について、是非一度じっくり考えてみてください。

参考文献
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