実際のエピソードから学ぶ!一般入試以外の選択肢

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 以前,教え子である高校三年生の男子生徒が,とある東京の私立大学のAO入試で無事合格したという知らせを受けました。 

 ほぼ受かるかな,とは思っていましたが,毎年のことながら,また同じ年に何十人受け持っていても,合格の知らせはとても嬉しいものですね。 

 この生徒は,ほとんどの生徒が当たり前のように有名大学に進学する中~上位の都立高校に通っていましたが,都立ならではの面倒見の悪さ(ごめんなさい)にもかかわらず,それなりの大学に受かるようにとプレッシャーをかけてくるところがのんびり屋で少し要領の悪い性格に合わなくて,進級につれ成績が落ちて行き3年生の1学期には先生からも「これじゃどこにも入れないよ。」と言われて落ち込み,やる気をなくしていた時に出会いました。 

 よくよく話を聞いてみたところ,ただ「皆が良い大学に行くのだから,少なくともGMARCHには行け。」としか言われず,ろくに進路相談にも乗ってもらったことがないから自分が文系・理系のどちらが向いているのか,ましてや将来なんとなくでもどんなことをやってみたいのか,など全く何も思い描くことができずにモチベーションもあがらないままモヤモヤした状態で3年生の1学期を終え,夏休みを迎えようとしていたところでした。 

 大学も,GMARCH以上に行かないと学校から嫌な顔をされるので,GMARCHならどの学部でもいいし,文系でも理系でもいいから倍率が低くて入り易そうなところはないですか,と言っているぐらいでした。 

 そこで,この生徒に私が真っ先に尋ねたのは,文系理系どちらが行きたいのか,ではなく, 

 「文系の学部だとこういう学部があって将来の選択肢はこうとかああとか。また学生生活はこういったイメージになる。そして就活はこういうことをやる。 理系の学部だとこういう学部があって将来の選択肢はこうとかああとか。また学生生活は文系とは打って変わってこういったイメージになる。そしてこちらの就活はこういうことをやる。」 

 というのを,実体験をもとに具体的に例示してあげたのでした。 

そして, 

自分にはどちらの方が向いていると思う?あるいは少しでも興味が湧く方はどっち? 

と尋ねてみたところ,数日考えたのち本人が出した答えは,「理系」でした。 

 そこから今度は,理系でももっと詳しく学部別に将来の選択肢を知りたいとのことでしたから,おおざっぱですが医学部,薬学部,工学部,応用生物学部,理学部など主だった理系学部と学ぶ内容,取れる資格,主な進路についてまた話をしてあげました。 

 それから更に数日後,本人が, 

 「話を聞いてより頭の中の情報が具体的に整理されたので,色々考えて見た結果,今の時点では流行のAIプログラマーになりたいな,と思ったので,大学はどこでもかまわないから内容重視でいくつか見学をして,AIプログラミングについてみっちり学べるところに行きたいと思います。」 

 と言ってきました。 

 

そこで,今度は一緒にAIプログラミングに特化した学科を設置している大学や,ゼミが充実している大学を洗い出していったところ,超有力なところが一つと,有力なところが3つ候補に挙がって来ました。そして,それらすべてのオープンキャンパスに行ってきてもらったところ,本人は鼻息を荒くして,その超有力なところに絶対に入りたい,と言い出したのです。 

 せっかく超有力なのだから行けるならそこでもいいかと尋ねると,いいと言うので,ここ数年の入試状況や偏差値を調べたところ,GMARCHよりは入りやすく,就職率も良いので,公募推薦やAO入試制度など,何とか少しでも一般受験よりも有利な方法はないかあたってみたところ,倍率は3倍ほどあるがAO入試が実質専願制度となっていて,簡単な学力試験と面接があるだけ,とのこと。 

 願書にもA41枚分の志望理由を書く欄が設けてあるので,これは志望理由をしっかり書ければ可能性が高いのでは,と思い,それから一緒に何度も何度も志望理由を考え,清書をして提出をしました。 

 

そして,試験当日。 

 本人は緊張のあまり面接で何を言ったか覚えていない,筆記試験もそんなに難しくはなかったと思うが時間があまりなくて急いで解答したので,あまり自信がない,人も去年より沢山来ていたみたいだし,と少し自信喪失して帰って来ました。 

 それで,どうかな…と案じていたところの,この合格の連絡でしたので,お互いに,喜びもひとしおでした。 

 そして私が何より嬉しかったのは,合格ももちろんなのですが,何も将来やりたいこともなく何となく周りが受験するからと受験を予定していて,モチベーションもかなり下がっていたこの生徒が, 

 「僕は4年間この大学で一生懸命勉強して絶対にAIプログラマーになって見せます!それに,一般受験で入って来た人に負けないように,残りの高校生活でも塾をやめないで先生の所に通って一生懸命他の人と同じぐらい勉強を続けたいと思います!」と晴れ晴れとした顔で言ってくれたことでした。 

 

この出来事を通して思ったことは,昔と違って,今は調べるとより良い学生を確保する為に大学側も様々な制度を設けていて,一般受験ではレベル的に多少難しく見えるところでも,場合によっては受け入れてもらえる道があるのだから今の学生はある意味恵まれているな,ということでした。 

 自分のやりたいことさえしっかりと見通して,なぜその大学・なぜその学部や学科で学びたいのか,ということをはっきり言えさえすれば,万人に道が開けているのだなあ,とつくづく感じました。 

 昔みたいに,とにかく入試で高得点を取りさえすればよい,少しでも偏差値が高い大学に入学出来れば学部なんてあまり重要でない,という時代ではもうないのだと。 

 これから受験される皆さんもこの話を参考にして,ぜひ早目に将来やりたいことや自分に合った道を見つけて,その道を進むための助けとなる大学はどこか,という視点で大学選びをしてみて下さい。 

 そして,行きたい大学が決まったらぜひ様々な入試制度を利用し,チャンスを自分のものにしてください。 

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