大学受験英語に取りかかろうと思ったら,まずやろうと思うのが
『語彙力強化』
ですよね。
学校でも,
の二本立ての授業に加えて,毎朝英単語テストを行う,という学校は多いと思います。
しかし冷静に考えて見て下さい。
その英単語テストを皆さんに課している英語の先生は,英語がペラペラですか?
ほとんどの場合,答えは『NO』だと思います。
筆記では点が取れるかもしれませんが,実際に英語を流暢に話せない先生に課される英単語のテストを,重要視する必要はないと思いませんか。
ただ,この英単語テストの結果は当然,成績に反映されると思いますから重要ではないと思っても点を取らなくてはいけないので仕方なく単語を暗記している人も多いでしょう。
しかしここでは,単語を単独で覚えなくても良い,と言っているのであって,つまり単語を単独て覚えなくても,流暢に話せるぐらいのコミュニケーションツールとしての英語力を強化すれば,付随して単語力はあがってくるのでわざわざ時間を取って英単語だけを必死に覚える作業をする必要はありませんよ,ということを言いたいのです。
日本語で考えて見ても,同じことが言えると思います。
皆さん日本人でも,テレビを観ている時や新聞・難しい本を読んでいる時などに漢字の読み方がわからない単語や,意味を知らないどころか初めて聴く単語や言い回しなどに出会うことが少なくないと思います。
そんな時,心新たに
「こんなふうにまた知らない単語が出てくると困るから,しっかり単語を覚えよう。」
と決意するでしょうか?
しませんよね。
前後の文脈で判断したり,何度かその単語に出会っていくうちに自然とそれが知っている単語へと変化し,自身の語彙になっていっていると思います。
英語も言葉ですから,同じことなのです。
なぜ英語となると単語・熟語・構文・文法・英作文・英訳和訳・長文読解,と細かく分ける必要があるのでしょうか。
言葉と言うものは本来,日常生活の中で自然にその使い方を習得して行くべきものです。
また,そうやって習得するのが最も早く効率的で,かつ確実な方法であるのです。
「いや,受験英語だから話す英語を習得するのとは話が別なんですよ。」
という時代はもう終わりました。
現在,どこの大学でもコミュニケーションツールとして英語を使うことが出来る学生を強く求めています。
その証拠に,大学入試の英語の問題の傾向も大きくコミュニケーション寄りに変わって来ていますし,入試での英語の問題もTOEICやTEAPのスコアが一定の基準を満たしていれば免除される,といった制度を採用する大学も年々増えています。
実際,特に理系の学部では生きた英語で論文を読んだり書いたり出来る人材が不足している為,生きた英語を操れる海外経験のある学生を積極的に集めています。
そして何より,私自身が帰国子女なのですが,かつて大学受験を乗り越え,大学では英語の教員免許も取得し,現在あちこちの塾や予備校で英語を教えていますが,学校の英単語テスト以外で英単語だけを覚える作業を行ったことはありません。
それでもTOEIC満点,大学入試でもほとんどの問題で満点近く取ることが出来ます。
TOEICを受験すればいまだに知らない単語が一つや二つ出て来ますが,あまり気にしたことがありません。
得点に影響しないからです。
わからない単語が出て来ても,文の構造から品詞が推察出来れば,意味を考えずに空欄を埋めることは十分に可能ですし,また長文読解問題であれば前後の文脈から判断することが出来ます。
そうは言っても,コミュニケーションに必要な基本的な語彙力というのは当然必要になって来ます。
それらの基本的な語彙力は,ではどうやって身に着ければよいでしょうか?
その答えは
『日本語と同じように使う』
ということにつきます。
しかし残念ながら,ここ島国日本に生活していて,たまたま観光地で訪日外国人に道を尋ねられたりしなければ,そうそう頻繁に英語を使う環境は見当たりませんね。
したがって,それを解消する工夫が必要になって来ます。
帰国子女である私自身が,帰国してからも英語を忘れないために日常的に英語を使用する環境をつくり出すためにどういう工夫をしていたかというと,
などです。
正直,これらのこと以外は特に特別なことは行いませんでした。
それでも,時間が許す限りはTOEICを受けに行ったりして,形式や時間の感覚に慣れる努力をして高得点を維持するようにはしていましたが。
したがって,もう一度本題を言いますが,
『大学受験英語を極めるために特に英単語を覚える必要はない』
ということをよく覚えておいて下さい。
英単語を覚える作業に時間を使うのであれば,例えばジブリの映画の完全英語版を入手して見てみる,とか,洋書を読んでみる,とか,簡単なことを数行でいいから英語日記をつけてみる,など,より生きた英語に触れる時間に充ててもらいたいと思うのです。
そうすることによって,自然に大学側が求めている,英語コミュニケーション力をもった学生に近づくことができ,結果,それを問う入試問題でも単語の一つ二つわからなくても合格点を取る事が出来る真の英語力を養うことが出来ると断言できるからです。
さあ明日から,いや,今日から,ぜひ日常生活ベースで英語力アップをはかり始めましょう!
そして,その分で浮いた時間を他の教科の学習に充て,見事大学受験で第一志望校合格を果たしてください。