こんにちは。
今日は,皆さん一度は迷うであろう大学受験英語の英文解釈分野の対策の仕方について,気になることがあったので書いてみようと思います。
一昔前までは,大学受験英語の対策で英文解釈というくくりはなかったように思います。
当時は,それにあたるものは英語長文読解というくくりで,今は書店でも実にバリエーションに富んだ参考書がズラッと並んでいて目移りしてしまいますが,その頃は長文読解というと,どれもひたすら長文と設問が並んでいて,地道にそれらを和訳し,設問に答える,という作業を繰り返したものでした。
電子辞書もなかったころは,当然紙の辞書を片手にそれらを読み込んで,気が付いた時には辞書は手垢で真っ黒で,単語などはわざわざ単語集で覚えなくとも長文読解問題をひたすら毎日やっていれば自ずと語彙力も強化されていったものでした。
しかし最近は,長文読解の他にどこの予備校や塾に行っても『英文解釈講座』的なものが設けられていて,また有名大手予備校の名物講師が英文解釈の講義形式の参考書を出せばバカ売れし,それを持っていなかったら出遅れた気になってしまう,という話も実際に何人かの生徒から聞きました。
しかしながら,その大学受験英語必携『〇×英文解釈』なるものを生徒に見せてもらって愕然としてしまいました。
英文解釈,つまり一文一文を正確に解釈し,最終的には長文を正確に読み設問に的確に解答することを誰しも目指しているわけですが,最終着地点がそこにあるはずなのに,書籍のページに見受けられるのは英語が10%だけで,残り90%は日本語の解説なのです。
当たり前ですが,英文解釈とは英文を解釈することです。
つまり,英文を読んで,その文章を書いた人が言いたいことを読み取ること,それが解釈するということですね。
ではどうやれば英文解釈が出来るようになるかというと,これは誰がどう冷静に考えてみても同じ答えにたどり着くはずですが,とにかく沢山英文を読んで,わからない単語を調べながら正しく解釈する練習をひたすら積み重ねることです。
母国語である日本語だって,そうですよね。
子供の時からいきなり大人が読むような難しい本や新聞が,たとえ母国語だって理解出来るわけではありません。
ではどうして大人になれば難しい本や新聞が理解出来るようになるかというと,子供のころからたくさん(人によってはたくさんでない場合も多々あるかとは思いますが)活字を読んで,内容を理解しようとするからです。
英文だって同じ原理で,ある程度の難易度の英文を理解出来るようになるためには,それが母国語であろうが外国語であろうが,とにかく練習していろいろな英文を理解しようとしながら読むことを繰り返すしかないのです。
ですから,90%が日本語の解説である英文解釈の本は,いくら読んだって日本語力こそ教科されるかもしれませんが,英語力は強化されないであろうことは想像に難くないと思います。
もしも英文解釈の良書を探しているのであれば,設問以外はすべて英語で書かれたもの,つまり日本語の解説など書いていなくて,その分一つでも多くの長文を掲載している参考書または問題集をお選びいただくべきだと思います。
そして,そう考えると,結局『英文解釈』と早道は沢山の長文にあたることなのですから,つまり『英文解釈』という区分けはあまり要らないのではないかと思ってしまうわけです。
それでも,もちろん『〇×英文解釈』という本にも利用の仕方はあります。
それは,掲載している10%の英語部分である例文を,自分なりに品詞分解してから訳してみることです。
そして,訳が完成したら解説に書いてある和訳と見比べてみて,答えあわせをするのです。
でも,それをするのだったら,ほとんど英文が書いていない『〇×英文解釈』ではとても練習するのに足りないですから,長文が大量に載っている『長文問題精講』等のほうがよほど良い気がします。
『〇×英文解釈』に掲載されている例文を品詞分解して訳す作業は,はっきり言って受験にある程度対応できる実力を持っている受験生ならば一日,いや数時間で終わってしまう程度の量だからです。
つまり,英文解釈に良書があるとすれば,設問以外すべてが英語で書かれたもの,ということになるのですから,すなわちそれは英語長文問題集とイコールになるのです。
よく考えてみれば当たり前の話ですが,英語を制覇するには,とにかくたくさんの英語にあたるしかありません。
それは,英文解釈も,文法も同じことです。
しかしながら文法は,独学でやっている場合は特に,日本語で説明が書いていないとしくみが理解出来ない場合も多いと思いますから,辞書代わりの集めの文法書(FOREST等の集めのもの)を一冊備えておくことは必要でしょう。
でも,それ以外はとにかく原始的に,ひたすら一つでも多くの長文読解問題にあたることが,単語・熟語などの語彙力をつけ,頻出構文や慣用句などを頭に入れ,的確に意味が取れるようになる早道だと思うのです。
自分も受験生として勉強をし,さらにその後20年以上英語を大学受験生に指導してきた今に至っても,この考え方は一度たりとも変わったことはありません。
その信念のもと,既に数百人に及ぶ教え子たちは,余分な英文解釈問題などをやることもなくひたすら長めの英語長文を品詞分解し,訳し,設問に答える,という作業の繰り返しで,おおかたセンターでは9割近く,国公立二次試験や難関私立二次試験でも8割近くを得点しているのを確認しています。
大学受験は一教科ではありませんから,とにかく全体としてやることが多くて大変です。
長時間勉強をすれば,適度に脳や体が疲れてやった気にはなるでしょう。
しかし,それは本当に『やった』のでしょうか。
時間を効率的に使い,本当にやらなければならないことだけを『やった』のでなければ,良い結果につなげることが難しくなってしまいます。
その教科その教科で絶対にやらなければならないことだけを残し,逆にやらなくても良いもの,やっても無駄なものは全てそぎ落として,貴重な時間すべてが結果に反映されるようにしたいではありませんか。
そのために,今日から,英語は文法と長文読解の2つのアイテムだけに絞って,出来るだけ沢山の数にあたるようにしてみてください。
その際,長文読解については文中でも触れましたが,
この作業をひたすら続けてみてください。
問題集が一冊終わるたびに,得点の大台が上がって行くことに気が付くと思います。
皆さんの良い結果をお祈りしています。