漢文を捨てるのはまだ早い!漢文の攻略方法を徹底解説

古典(古文・漢文)

 大学受験の漢文は、避けて通れる大学も多いですが、国公立受験の際の共通テストや、上位の私立大学文系で国語が課される場合、どうしても受験しなければならない科目です。 

 しかし、30年近く大学受験生の指導に当たっている中で「なぜか漢文は好き。」「漢文は任せて!」という受験生はほとんど聞いた事がありません。 

 現代文や古文が割と得意で、まあまあ点数が取れるという人でも、漢文は怪しい、半分取れれば御の字、という人が多いような気がします。 

 それに漢文の配点は少ないので、「漢文は捨ててしまっても、現代文と古文でそこそこ得点すればいいだろう、漢文の勉強に充てる時間もあまりないし。」と考える人が非常に多いようです 

 そこで今日は、文系理系にかかわらず“厄介”だと思っている人が多いこの『漢文』という教科の大学受験での攻略法について書きたいと思います。 

  いざ『漢文』を勉強しようと思っても皆さんどうしても「面倒臭いな」「半分くらいは点数が取れるけど、コンスタントに8割とかはきついな」と思う人が多いでしょうし、まして理系の人ともなると「全く何を勉強したら良いかわからない。」「見ただけで鳥肌が立つ」という人もいるでしょう 

 しかし逆手に取れば、そうやって先入観で投げ出してしまう人が多い科目だからこそ、人より少し工夫して対策を取って、得点源にしてしまえばお得だと思いませんか? 

 実は漢文は全ての受験科目の中で最も得点を取りやすい科目だと言われており、勉強に費やす手間も時間も全教科中最も少なくて済むのです。 

具体的には、国公立志望で共通テストでしか漢文を受験する必要がない受験生は、一か月集中して句形の本と読解の本を一冊ずつ演習すれば9割得点出来ると言われているのです。 

もちろん、受験生の皆さん他にもやる事が大量にありますから、漢文にかける時間をそれほど多く確保できないという現状は承知しています。 

しかし、趣味としての漢文に興味がある訳ではないのですから、ゆっくり時間を取って漢文を味わい、文献をあれこれ読んで楽しむ必要は全くありませんので安心して下さい 

あくまで受験の漢文で高得点を稼ぐ、という事だけを念頭に置いて、いかに少ない努力で漢文を得点源にするのか、という事について、その基本的な勉強の仕方をご紹介したいと思います。 

 

まずは漢文の正体を知る 

 彼を知り己を知れば百戦危うからず 

 まさに漢文によく登場する孫子が、中国春秋時代の兵法書として記した書物に載っている名言です。 

 皆さんも一度や二度は聞いたことがあるのではないかと思いますが、 

 敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはない 

 という意味です。 

 そこで、我々もまずは、『漢文』という敵についての基礎知識をまずは習得しておくことにしましょう。 

漢文は日本人にとって『国語』ではない 

 漢文とは、漢人、つまり中国人が書いた文章を言います。
つまりは中国語、ということになりますので、ご存知のようにすべて漢字のみで書かれています。 

 但し、ここでいう中国人とは一般に清代以前の中国人を指します。清とは日本史で言う日清戦争の清の事ですから、すなわち漢文は古い中国語、という事になる訳です。 

 して、その頃においても日常会話とは異なるいわゆる文語という位置づけにありましたので、西洋諸国で言えばラテン語、日本で言えば古語(古文は古語で書かれている文章)に当たります。 

 つまり、漢文は中国語なのですから、新しい・古いは置いておいて、我々日本人の話す日本語とは構造や文化的背景が違います。 

 現在、日本の高等学校では国語という教科の中に現国・古文・漢文の3項目が設置されていますが、厳密に言えば漢文だけは国語ではありませんから、分類するなら以下のようになります。 

 

現国 → 現在使われている日本語を用いて書かれた文章を読解するもの 

古文 → かつて使われていた日本語を用いて書かれた文章を読解するもの 

漢文 → かつて使われていた中国語を用いて書かれた文章を読解するもの 

 まずは、この違いを理解して頂き、漢文だけは現代文や古文と別物と思って下さい 

漢文=中国語の古文 

 漢文は日本語でなく中国語で書かれているという事がわかったところで、一番理想的なのは中国語を学ぶ事なのですが、漢文では古い中国語が使われている事もあり、受験漢文を制覇するためにわざわざ現代中国語と古典中国語から学習する、などというのは手間も時間もかかって効率が悪いですよね。 

 そこで、手っ取り早く文法に目をつけて考えて見たいと思います。 

 中国語の文法は英文法とほとんど同じであると言われています。 

そして、これまで主に日本で教育を受けて来ているであろう皆さんは文系理系問わず英文法の学習は中学1年生からずっとやって来ている訳です 

 そこで、英文法の知識を漢文の学習に上手く適用してしまえば、中国語自体を学習せずに漢文をマスターする事が出来る、という事になりますね 

 したがって、これから漢文の攻略法をマスターするに当たって、基本的には大学受験英語を学習する手順と大体同じ流れなんだ、と思って読んで頂ければと思います。 

漢文の学習項目3 

 漢文を攻略する上で、必ずマスターしなくてはならないアイテムが3つあります。 

基本的には皆さんが馴染みのある英語と同じ分類で、具体的に以下の3つとなります。 

  1. 文型
  2. 語彙 
  3. 句法・句形 

 

まず①ですが、漢文の文型は英語の文型とほとんど同じと考えて頂いて大丈夫です。 

但し、中国語では名詞や形容詞が述語として機能してしまう、という性質があるため、結果として補語に当たるものは存在しません。 

したがって、英語のSVCにあたる第二文型と、SVOCにあたる第五文型は存在しませんので、ここでは第二文型と第三文型、第四文型と第五文型を同じものと捉えて基本三文型+倒置や並列などの例外、という風に考えて頂けたら良いと思います。 

 第一文型 主語 + 述語 

      孔子(主)曰(術) 

      Koshi (S) sais (V), 

 第二文型 主語 + 述語 + 目的語 

 第三文型 主語 + 述語 + 目的語 

      我(主)見(術)君主(目)。 

      I (S) see (V) my lord (O). 

 第四文型 主語 + 述語 + 目的語 + 目的語 

 第五文型 主語 + 述語 + 目的語 + 目的語 

            景公(主)(術)(目)孔子(目)。 

      Keiko (S) asked (V) Koshi (O) what politics is (O). 

 

文章を見たらまず文型を見定める癖をつけて頂きたいのですが、英語と同じようにまずは、ある一文を見た時に述語を探しに行く、というのが最も手っ取り早いと思います
そして、その述語の前にある名詞が主語、後にある名詞が目的語、というところまで特定します。 

 そうやって一文一文の文型を見定め、長文を最小限の塊ごとに分ける、という作業が基本となります。 

 慣れるまでは横に小さく主、術、目と書いて行っても良いですし、色分けして分類しても良いと思います。 

 筆者が受験生だった時は、時間に余裕がある時は漢文を一旦英語に書き換えて、英語で文型を判断したりしていました。 

 

次に②ですが、文の場合も、英語と同様ある程度の語彙がなければいくら文型の見定めが出来ても文意は理解出来ません 

 そこで、必要最小限の語彙は頭に入れておかなくてはならないと言う事になるのですが、英語と違うところは、文字がローマ字ではなく皆さんがより日常的に馴染みのある漢字である、というところです。 

 したがって、人の名前なのか、地名なのか、はたまたどういう意味なのか、日本語と共通しているものについてはある程度意味が推察出来てしまう、という所が英語と比較して楽な所です。 

 ですから、普段あまり見覚えのないもの、入試によく出題されるものを中心に短期間でまとめて暗記してしまうのが最も理想的なのですが、英単語集のように漢文の単語集が出版されている訳ではありませんので、いちいち本文から拾って来て覚える、というのも手間と時間がかかります。 

 そこで、最も効率が良いのは、一見面倒に見えますが教科書なり過去問なりで取り上げられた文章の訳をそのまま丸暗記してしまう、という方法です。 

 一度覚えてしまえば、同じ文献が出題されればラッキーですし、そうでなくとも漢文に出てくる表現や言い回しは共通するものや似ているものが多いため、覚えたものを元に、初めて出会った表現をより正確に推察をする事が出来るようになるからです。 

 

最後に③ですが、漢文で最後にやらなくてはならない作業として、語彙と同様地道な暗記作業となってしまいますが句法・句形を覚える事です。 

これは英語で言うと頻出重要構文にあたるもので、文の大枠の意味を決定する大切なものとなります。(以下の例の場合は冒頭に不可が配置されている) 

 

例)不可・・・・・。(~すべからず)「~してはいけない」 

 

逆に言えば、これらさえ押さえておけば、ある程度語彙に関しては推察でも何とかなってしまう部分があります。 

 れに、地道な暗記作業とはいえ絶対数は英語程多くありませんから、何か一冊句法の参考書を丸暗記すれば十分でしょう。 

 この作業では現在圧倒的に「三羽の漢文ヤマのヤマ」(学研)を用いる受験生が多いようです。 

 

まとめ 

 駆け足ではありましたが、大学受験の漢文を攻略するにあたっての基本的な考え方と最低限行うべき作業について、ご紹介させて頂きました 

 繰り返しになりますが、どの作業をするにあたってもとにかく忘れないで頂きたいのが 

 漢文は日本語ではなく中国語である 

 という事です。 

そして、その中国語の文法は英語とそっくりなのです。 

 文中でも述べましたが、漢文は最も高得点が取りやすい科目と言われています。 

 共通テストでしか漢文を受験する必要がない方が大半だと思いますが、最速で1週間、どんなにかかっても1カ月あれば、効率よく文中で述べた3つのアイテムを学習するだけで、高得点を取ることができるでしょう。

これは非常に大きな武器になりますね。 

 特に1点に何十人、何百人とひしめいている国公立の高得点域での争いは、1点でも他の受験生より上回る事が合格を手にするカギとなってくるはずです。 

したがって、漢文で点が取れるかそうでないかは、結果を大きく左右すると言えるでしょう。 

 漢文は中国語、つまり言語なのですから、基本さえ押さえてしまえば難しくしようがないので、手をつけないのは勿体ないと思いませんか? 

 そして、二次試験で漢文の受験を免れない人も、この基本さえ押さえてしまえば後は共通テストだけの人より少し多めに読解問題にあたっておけば、やはり満点に近い得点を残す事が可能です。 

 是非今日から先入観を捨て、他の教科に手間暇がかけられるように漢文を早めに得点源にして、第一志望校の合格を勝ち取って下さい!

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