酸化還元反応を得点源に!反応の説明・問題の解き方

化学

 今回は、酸化還元反応とは何かという事から、具体的な問題の解き方について解説していこうと思う。
今まで酸化還元反応をよく理解せずに、とりあえず覚えた半反応式を並べるだけだった方をはじめ、酸化還元反応の分野を得点源にしたい方にぜひ読んでもらいたい。

酸化還元反応とは?

「酸化還元反応って何?」という問いにあなたは答えられるだろうか。この問いに答える前に、ちょっと分野をさかのぼって中和反応について考えよう。

中和反応とは、酸が持つH+(=陽子)を、塩基がうけとるという、H+の授受反応の事であった。

それに対して酸化還元反応とは、ある物質が持つe(=電子)を、もう一方の物質が受け取るという、eの授受反応の事である。

そして、eを供給する側の物質は酸化されたeを受け取る側の物質は還元されたというように表現する。この事からわかるように、酸化と還元は必ず同時に起こるといえる。

ここで気を付けておきたいのは、酸化された物質は同時に相手物質を還元しているといえるので還元剤還元された物質は同時に相手物質を酸化しているといえるので酸化剤と呼ぶことである。

まとめ

  • 中和反応; H+の授受
  • 酸化還元反応; eの授受

「陽子の授受を学んだあとは、電子の授受を学ぶ」というように、自分の学んでいるものに対して俯瞰的な視点を持つことは、化学に限らず、どの分野においても重要である。(このような視点を持つためには、すでにその分野に精通した人にアドバイスをもらうことが好ましいだろう。)

半反応式

酸化還元反応は授受反応の事であった。そのため、酸化還元反応式を記すためには、

  • 酸化剤が電子を受け取る式
  • 還元剤が電子を供給する式

の、二つの反応式を組み合わせなければならないのだが、この二つの反応式のことをそれぞれ半反応式という。

二つの半反応式を合体して酸化還元反応式を作る方法は後で記すとして、まずは半反応式の作り方について説明する。

酸化剤

オゾン

O3+2H++2eO2+H2O

過マンガン酸カリウム(酸性溶液中)

MnO4+8H++5eMn2++4H2O

過マンガン酸カリウム(塩基性溶液中)

MnO4+2H2O+3eMnO2+4OH

二クロム酸カリウム

Cr2O72-+14H++6e2Cr3++7H2O

濃硝酸

HNO3+H++eNO2+H2O

希硝酸

HNO3+H++eNO+2H2O

熱濃硫酸

H2SO4+2H++2eSO2+2H2O

塩素

Cl2+2e2Cl

二酸化硫黄

SO2+4H++4eS+2H2O

過酸化水素(酸性溶液中)

H2O2+2H++2e2H2O

過酸化水素(塩基性溶液中)

H2O2+2e2OH

還元剤

ナトリウム

NaNa++e

硫化水素

H2SS+2H++2e

水素

H22H++2e

シュウ酸

H2C2O42CO2+2H++2e

スズ

Sn2+Sn4++2e

二酸化硫黄

SO2+2H2OSO42-+4H++2e

鉄(Ⅱ)

Fe2+Fe3++e

ヨウ化カリウム

2II2+2e

過酸化水素水

H2O2O2+2H++2e

*過マンガン酸カリウム、過酸化水素は反応が起こる溶媒によって反応式が変わる
**二酸化硫黄、過酸化水素は反応相手によって酸化剤、還元剤のどちらにもなりうる

上に記したように、半反応式はたくさん存在し、とても一つ一つ覚えていられるものではない。そこで受験生に求められているのは、この半反応式を試験会場で、自力で作り出すことである。作り方はいろいろあるが、ここでは私が普段使っている方法を紹介する。

作り方

  1. 上の表で、反応前(上表中赤文字)と反応後(上表中青文字)の物質だけを覚えておく
  2. (必要であれば)両辺の酸素の数を、H2Oを使って揃える
  3. (必要であれば)両辺の水素の数を、H+を使って揃える
  4. 両辺の電荷を、eを使って揃える

この手順で、簡単に、例外なく、作業的に半反応式を作ることができる。

以下に具体例を二つ記しておく。

  • 鉄(Ⅱ)イオンの半反応式
    1. 反応前と反応後の物質を両辺に記す
      Fe2+Fe3+
    2. 酸素も水素も両辺にないので、電荷だけ揃えて完成
      Fe2+Fe3++e
  • 二クロム酸カリウムの半反応式
    1. 反応前と反応後の物質を両辺に記す
      Cr2O72-→2Cr3+
    2. 酸素イオンの数を、H2Oを使って揃える
      Cr2O72-→2Cr3++7H2O
    3. 水素イオンの数を、H+を使って揃える
      Cr2O72-+14H+→2Cr3++7H2O
    4. 両辺の電荷を、eを使って揃える
      Cr2O72-+14H++6e→2Cr3++7H2O

半反応式は、手順を覚えていなければ絶対書けないが、しっかり書ければ間違いなく得点源になる分野なので、ぜひ身につけておきたい。

酸化還元反応式の作り方

酸化還元反応式を作るには、酸化剤の半反応式と還元剤の半反応式を組み合わせる必要があった。それでは、実際にその組み合わせ方を説明していこう。

先ほどと同様、まずは中和反応の時を思い出してみよう。中和反応の時は、酸がH+を放出して、塩基がH+を受け取るというのを、

(酸の放出しうるH+の物質量)=(塩基の放出しうるOHの物質量)

という関係式にして問題を解いていたことだろう。

それでは、酸化還元反応式でも同じように考えよう。酸化還元反応で重要となる関係式は

(酸化剤が受け取るeの物質量)=(還元剤が放出するeの物質量)

である。重要なのは、これだけである。

例を見てみよう

問.硫酸酸性条件下における、過マンガン酸カリウムとシュウ酸の酸化還元反応式を書け
解答解説

まず、過マンガン酸カリウムとシュウ酸の半反応式を書く

MnO4+8H++5eMn2++4H2O …(ⅰ)

H2C2O42CO2+2H++2e- …(ⅱ)

次に、(ⅰ)(ⅱ)式でeの数を揃えて、消去する。(ⅰ)×2+(ⅱ)×5より

  2MnO4+16H++10e2Mn2++8H2O
 -)
5H2C2O410CO2+10H++10e
============================================================
  2MnO4+6H++5H2C2O42Mn2++10CO2+8H2O

この時点では、両辺にイオンが含まれているためイオン反応式であるので、これを化学反応式(イオンを含まない形)に直す必要がある。

今、MnO4KMnO4由来、H+H2SO4由来であるから、電荷を合わせるために両辺に2K+とを加えて整理すると、求めたい化学反応式

2KMnO4+3H2SO4+5H2C2O4→2MnSO4+10CO2+8H2O

が得られる。この反応式さえ得られれば、あとはいつものように、これを使って問題を解くだけである。

ここでわかるのは、2molの過マンガン酸カリウムと、5molの過酸化水素が反応するという事である。

まとめ

酸化還元反応は、なんだか重い分野のような印象があるが、ここまでに記したように

  1. 半反応式を書く
  2. 酸化還元反応式を書く
  3. 反応式を利用して、問題を解く

という手順で進めていけばよいのである。すなわち、1の半反応式を作ることができなければ大問一つ丸々捨ててしまうことになる。

まずは、半反応式を覚えることからはじめて、ぜひこの分野を得点源にしてもらいたい。

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